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〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀

第44章 姫百合と艶やかな純情《前編》❀明智光秀❀






(……あれ、私、また…………?)




────温かくて、いい匂いがする


まだ暗い部屋の中で目を覚ました私は。
ふわふわと微睡みながら、鈍い思考を巡らせた。

今日も光秀さんの御殿に泊まって。
いつものように、激しく求められ、愛されて。


そして、また意識飛ばしちゃったんだ──……


すごく温かくていい匂いがするのは、光秀さんが私をすっぽり包んで、抱き締めていてくれるから。

私を抱き締めながら、すやすや眠る光秀さん。
相変わらずの綺麗な顔で、でも眠る表情は少しあどけない。

身体に回されている、筋肉質の腕。
よく引き締まった、温かい胸元。

私は光秀さんの胸に顔を擦りつけるようにして、愛しい恋人の温もりを堪能した。



この人と恋人同士になってから……
私は明智光秀という人が、ますます解らなくなった。

いつも飄々としていて、内心はみせない。
そんな光秀さんを全部とは言わなくても、解っているつもりだった。

むしろ、恋人になったのだから、少しは素顔を見せてくれるのではないか。

そんな風に思っていたけれど……
彼の相変わらずの態度は、変わらないままだ。


────お互いをさらけ出す、褥の中ですら





「光秀さんは、大人だから……なのかな」





決して崩れない余裕。
いつも私を手のひらで上手く転がして……

私を操り、すべて光秀さんの思うように事は運ぶ。

そんな私達の関係は、嫌じゃないけど。
少し……寂しいなと思う時がある。


もっともっと、貴方の素顔がみたい。


余裕なんてかなぐり捨てて。
本能のままに私を求める、貴方が見たい。

その仮面が崩れる時──……
貴方はどんな姿を見せてくれるのだろう。




「ん…美依……」




その時、光秀さんが寝惚けて私の名前を読んだ。
気は許してくれているんだろうな。

でも……物足りないよ、光秀さん。




(私、ワガママなのかなぁ……)




そんな事を思いながら、また目を閉じる。
柔い温もりと、安心する匂いに包まれて、また私の意識が深く沈むのには、さほど時間はかからなかった。

その日も、光秀さんの夢を見た。
熱を孕んだ瞳で私を見つめ、『愛している』と囁く。

そんな、いつも通りの光秀さんだった。











────…………













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