〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第43章 微色の三日月《後編》❀伊達政宗❀
「大丈夫?痛くない……?」
「だから大丈夫だ、お前の方が痛そうな顔してどうすんだよ」
御殿に帰り、そのまま美依に傷の手当てをしてもらう。
傷口を拭いてみれば、利き腕の肘の上辺りを、ざっくりと斬られていた事が解った。
でも、美依にも言ったが、そんなに深くない。
利き腕ってだけで、少し不便かもしれないがな。
薬を塗って包帯を巻いて、止血する。
傷の割には結構血が出たせいか、美依はなんだか大げさなくらい立派に手当てをしてくれた。
骨折した時のように、布で手を釣ったりして…
逆にこれでは動きにくいが、せっかくやってくれたので、そのままにしておいた。
「はい、終わり」
「ん、ありがとな」
「本当にごめんなさい……」
「謝るな、お前のせいじゃない」
手当てしてもらった手と反対の手で、美依の頬を撫でる。
さっきから暗い顔をしているので……
優しく慰めるように、そのまま伝える事にした。
「お前に怪我がなくて良かった。戦に行けば、もっと深い傷を身体中に負う。それを思えば大したことない」
「でも……」
「それに…好きな女を守るために負った傷なら、それは男の勲章だ」
「え……?」
美依が目を見開いて、こちらを見る。
俺は優しく美依の頬を撫でながら……
自分の想いを、素直に口にした。
「聞こえなかったか?好きな女を守れたんだから、傷を負ったっていいんだよ」
「好きな、女……?」
「ああ。俺はお前を、世界一可愛いと思ってる。世界で一番…愛しいと思ってる」
「……っっ」
「俺は、お前が好きだ…美依」
甘く甘く囁いてやれば、美依は瞳を潤ませて見つめてくる。
しまった、色々可愛すぎてヤバイな。
そんな風に、若干身体が熱を帯び始めているのを感じていると、美依は少し恥ずかしそうに言葉を紡いだ。
「私も……政宗がすきだよ」
「そんな事、はなから知ってる」
「え……?」
「お前を見てれば解る。どれだけ俺がお前の事、見てると思ってるんだ?」
そう少し意地悪く言うと、美依は拗ねたようにそっぽを向いた。
そんな顔も可愛いな、馬鹿みたいに。
そう思い、顎を掬って唇を塞いでしまう事にする。