〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第40章 《御礼作品》私のイケナイ執事さん《前編》❀織田信長❀
「そんな風に急いで食べるから、口端にくっきーのくずが」
「え、嘘っ」
それを聞き、とっさに手の甲で唇を擦る。
ああもう、何一人で動揺してるんだろう。
あまりにスマートな信長様の執事ぶりに、さっきから心臓が本当に忙しい。
気恥しさを紛らわそうと、ティーカップに手を掛け、もう一度紅茶を飲もうとして……
思わず手が震えて、まだ紅茶が入っているのに、カップを落としてしまった。
「あっ……!」
「おっと…大丈夫ですか、お怪我は」
「ごめんなさい、紅茶こぼれちゃった……」
「そんな事より、火傷などはしておりませんか」
文机に紅茶が広がってしまうのを気にもせず、信長様は私の手を取り優しく触れた。
手袋越しに指先を撫でられ、その柔い触れ方に痺れが走り、思わず息を呑んで俯く。
(だめっ、変に意識しちゃ……!)
すると、信長様がクスッと笑ったような声が聞こえ…
視線を信長様に向けると、信長様は躊躇いもなく、唇で私の指に触れてきた。
「あ……っっ」
唇で食むように、優しく優しく。
そして、柔らかな舌が、合間から私の指先をくすぐってくる。
その焦らしながら攻めるような、絶妙な触れ方に…
私は身体の芯に、熱を灯される感覚を覚えた。
「信長、様……!」
「違うだろう、美依」
「のぶ、さんっ…何をして……!」
「少し指先が赤くなっているような気がして…こうすれば治るかと思いまして。どうしました、お顔まで赤いようですが?」
『信さん』は私に鋭く一喝し、また優しい『信さん』戻って唇を這わせ始める。
指先からだんだん甲に移動し、手をひっくり返されたかと思ったら、今度は手のひらを。
柔らかな唇が、熱を帯びながら、私を溶かしてくる。
指先が、とか言っておきながら、手首の方まで。
「んっ…ぁっ……」
「おや、随分と可愛らしい声ですね、お嬢様」
「のぶ、さんっ…やめっ……!」
「……止めて、宜しいのですか?」
「……っっ」
ちゅっ…と音がして、唇が離れる。
そして、そのまま視線が絡み合えば……
その紅い瞳が、熱を孕んでいるのが確認出来た。
口調は丁寧で、紳士的なのに。
抗えない熱情が宿っているようで…私を縛って離れられなくさせた。