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〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀

第40章 《御礼作品》私のイケナイ執事さん《前編》❀織田信長❀




「これ…燕尾服じゃないですか!」

「えんびふく、とは?」

「男性の礼服の事ですよ。ほら、上着の裾の方が割れていて、燕の尾みたいに見えるから…そう呼ぶんです」




私は少し興奮しながら、信長様に説明した。
格式の高い場でしか着る機会のない、燕尾服。

黒のジャケットに白シャツ、白い蝶ネクタイ……

そこには、それを着こなすための一式が、見事に取り揃えられていた。

私も実物を見たことがないし、誰かが着ている姿を見る機会も、もちろん無い。

だから、いざ目の前にすると、心が踊った。
それに……




(これ、信長様にすごく似合いそう……!!)




そんな事を思い、信長様にちらっと視線を向けると。
信長様は不思議そうな表情をして、私を見つめ返した。




「……どうした」

「あ、えぇとですね……」




ちょっと着てみてくれないか、お願いしてみようか。
でも、多分嫌だと言うだろうし、着方も解らないだろうし……

いや、でも、やっぱり着た所を見てみたい!

散々考えたが、私は自分の中の欲望に負け。
燕尾服の一式を腕に抱えると、信長様に近づいて、それを差し出した。




「信長様、これをちょっと着てみませんか?」

「俺が何故」

「きっと似合うと思うんです!信長様は背も高いし、西洋の服もお似合いになりますよ」

「……」




私が信長様を見つめ、必死にお願いすると。
信長様は初めはポカンとした表情をしていたが……

やがて目を細め、苦笑すると言ったように笑った。




「そのように貴様に可愛く強請られてはな…まぁ、褒美と言う名目で着てやっても良いが」

「褒美?」

「先日までの長期遠征の際、貴様は俺が帰って来るのを、きちんと待っていたからな。長い間一人にさせたと言うのに…弱音一言吐かなかったと女中に聞いた。それの褒美と言う意味だ」

「あ……」




信長様の言葉に、思わず目を見開く。
確かに数日前まで、信長様は西方の戦の鎮圧に赴いていた。

場所が遠かった事や、その他色々な要因が重なり、鎮圧まではかなり長い時間が掛かった。

でも……
大変なのは信長様の方だし、必ず帰って来てくれると信じていたから。

弱音なんて、あっても吐かないと決めていた。
それが信長様の耳に入っているなんて、思いもしなかったけれど……







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