〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第38章 サクラノアメ-恋情-❀石田三成❀
「解らないって……」
「私は美依様に幸せになってほしくて、嫁に行ってもいいのかと問われた時、いいと答えました。それが織田軍のためにも、美依様のためにも、一番いいと思ったのです」
「……」
「なのに私、おかしいんです。美依様を抱けば、この話は無くなると勝手に思いました。抱いてと言われた時、歓喜に震える自分が居ました」
────この腕に、美依様を抱けると
そう思ったら、身体中の血が沸きだって。
断わるなんてことは、出来なかった。
気がつけば『解りました』と答えていた。
駄目だと解っていて、何故。
私は美依様の『お願い』を聞いてしまったのか。
「私、自分の気持ちが解らないのです。自分の事なのに。美依様が気になって仕方ない、あんな事をしてしまった罪悪感なのか…今日も、何も手につかないんです」
「三成……」
「美依様は、何故私に抱いてなどと言ったのでしょうね。何故、あの夜も私を訪ねて来たんでしょうね、解らない事ばかりです」
小さくため息をついて、俯く。
何故、何故、どうして。
そんな疑問符ばかりが頭に浮かぶ。
美依様がそんな行動に出た理由も。
それに、応えてしまった自分も。
こんなにまで、何も手につかない訳も。
解らない、全てが。
自分の知らない『何か』が、心で渦巻く感覚。
もやもやして、掴めそうで掴めない。
────もどかしい、感情
「……っっ、馬鹿か、お前……」
すると、家康様が苦虫を噛み潰したような声を出した。
次の瞬間だった。
────バキィィィィッッ!!
「……っっ!」
突然、頬に走った衝撃。
身体が揺れる感覚。
ドサッ…………
「あ……」
気がつけば、私は尻もちをついていて。
次に続いて、頬に痛みが走った。
上を見上げれば、こぶしを握りしめる家康様。
ああ、そうか。
今、家康様に殴られたんだ。
妙に冷静に、そう判断した刹那。
家康様は凄む勢いで私に馬乗りになり、胸ぐらを掴んできた。