〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第38章 サクラノアメ-恋情-❀石田三成❀
「────美依と、何かあった?」
その言葉に、思わず目を丸くする。
すると、家康様は『やっぱり』と言った表情になり、今度は怪訝そうに尋ねてきた。
「何かあったなら、話くらい聞いてやる」
「家康様……」
「勘違いしないで、今朝美依も様子が変だったから。理由が解らなきゃ、美依を慰められないでしょ」
そのまま、家康様は言葉を続ける。
私の、今一番言われたくない言葉を。
気になって気になって仕方ない、原因の事を。
「美依は今日、見合いに行ったんだから…何の心置きもなく、晴れ晴れと嫁に行ってほしいと思ってるから」
────そう、今日美依様は見合いに行った
織田家ゆかりの姫として、ある大名の元に嫁ぐ為に。
よく言う、政略結婚。
それは、不本意な事だが、仕方なかった。
天下統一の為に……仕方ない決断だった。
それでも、美依様の幸せを考え、最適な相手を信長様自身がお選びになった。
話を聞けば、見合い相手の大名は…
とても美依様を気に入っていて、武士としての筋も通っている、とても有能な方だと。
だから、美依様はこれで幸せになれるのだと。
本来ならば、喜ばねばならないのに……
「家康様、私の話を聞いてくださいますか?」
私は意を決して、家康様に話し出した。
先日、私と美依様の間にあった出来事を。
本当だったら、あってはならなかった……
『ある一夜』の過ちを。
────…………
あの春の嵐だった夜。
美依様が、私の御殿を訪ねてきたのが始まりだった。
真夜中に、ずぶ濡れになって…
びっくりした私は美依様に問いかけた。
どうしたのか、何かあったのかと。
美依様は、こう答えた。
『お見合いをする事になったの、信長様の計らいだから、断るなんて出来ない。私、知らない人の元にお嫁に行くしかない』
私は、とうとう信長様が美依様に話したのだと解った。
すでに、会議でも上がっていた、美依様の見合い話。
機を見計らい、美依様に話して聞かせると。
信長様は小さく笑って言った。