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〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀

第38章 サクラノアメ-恋情-❀石田三成❀





────それは、ひとつの恋



私は、自分の気持ちがそうだとは気が付かず
貴女を泣かせてしまった

今でも、まだ間に合いますか?

薄紅に色づく想い
いつの間にか、こんなに胸の中を焦がして

貴女で無ければ、鎮まらないと叫んでる

だから、もう少し
もう少し、待ってください

今貴女を奪いに参ります。

嵐のような、激情は桜の雨となって、
はらりひらり、貴女の元に舞い降りるから──……

















(美依様、もう時間だろうか……)




少し空が霞む、春の日。
私はその天色の空を見上げ、小さくため息をついた。

時間的には、そろそろだ。
美依様が城を、光秀様と出ていってから半刻経つから。

別に、心配する訳でもない。
だって、悪い用事で出掛けたのではない。

むしろ、美依様にとっては、幸せの一歩だ。
なのに……




(こんなに気になるのは、あんな事があったからですね)




先程から上の空で、何も手につかない。
空を見上げては、ため息ばかりをつく私。

こんなんでは、秀吉様に怒られてしまう。

気にしても仕方ないのに、気になる。
なんで、こんなにもやもやするのだろう。


────解らない、自分の事なのに




「すごい、呆れるくらいぼんやりしてるね、お前」




と、その時。
声を掛けられたと思い、そちらに目をやれば……

私の尊敬する家康様が、廊下の奥から現れた。

『ぼんやりしてるね、お前』
空ばかりみてため息をついていたのを、見られていたのだろうか。

家康様が私の隣に並んできたので、私は少し肩を竦め、苦笑しながら家康様に答えた。




「すみません、美依様の事が気になって」

「お前が気にしなくても、上手くいく」

「そうですよね、すみません」




家康様の言う通りだな。
私なんかが気にしなくても……美依様は大丈夫だ。

解ってはいるのに……心は言う事を聞きそうにない。

私がまた小さくため息をつくと。
家康様は呆れたように、短く息を吐き。

その翡翠のような深緑の瞳を私に向けながら、なんだかとても優しく尋ねてきた。




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