〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第37章 アプリコット*プリンセス《生誕記念》❀豊臣秀吉❀
「私達さ、普段は忙しすぎて、星空を見上げる事も少なくなっちゃったなと思って」
「確かに…」
「だからね、またゆっくりこうして秀吉さんと星空を見たかったの。そしてね…」
すると、美依は俺と向かい合うように立ち。
俺を見上げながら、少し悪戯っぽく笑った。
「この綺麗な星空を大切な思い出にしたくて、『星』を一つだけ取ってきちゃいました」
(え……?)
星を取ってきた。
それは、一体どういう意味だろう。
俺が美依の顔を見ながら、首を少し傾げると。
美依は胸元から小さな革袋を取り出した。
そして、その中から何かを取り出すと……
俺の手を取り、手のひらにそっとそれを乗せた。
「お誕生日おめでとう、秀吉さん。私からの贈り物」
手のひらに乗せられたのは。
小さな、でも光り輝く蒼い宝石のような玉だった。
それはまるで星を宿したように。
石の中で、三本の筋状の光が規則正しい角度で交わり、まるで星が浮かび上がっているように見えるのだ。
「これは……」
「これは蒼玉だよ、ちょっと特殊な。まるで光が星みたいに見えるでしょ」
「こんな高価なもの、どうしたんだ?」
「実はね、信長様からの頂き物なの。献上品の中にあったのだけど、西洋の御守りなんだって」
すると、美依は俺の手を握らせながら、自らの小さな手も重ねてきた。
そして、柔らかい温もりのように、温かい笑みを浮べて言葉を紡ぎ出す。
「この石の中で交差している三本の光の筋はね、それぞれ、信頼・希望・運命を象徴していて、これは運命の石とも言われているんだって。そして、持ち主に幸運をもたらし、進むべき正しい道へと誘ってくれると」
「……」
「秀吉さんはあの流星群の夜に言ってくれた。私は運命の相手で、秀吉さんの光だって。なら…秀吉さんは私達家族をいつも正しい道へ導いてくれる、希望と幸運の星だよ」
────柔らかな声が耳をくすぐる
それは愛しい愛しい刹那の願い。
その唇から紡がれる……秘密の魔法の言葉。
「私、秀吉さんを愛してる。私の夫として、桃と杏の父して…これからも私達の進む先で、明るく輝く星でいてください。これからも一緒に生きていくために、私達の…一番星で居て」