〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第4章 華火と微熱と光秀さん《後編》❀明智光秀❀
「……そんなの、決まっているだろう?」
美依の両頬を、手で包み込み。
涙の筋に沿うように、頬に唇を滑らせる。
そしてそのまま、まぶたに優しく口づけ……
身の内に巣食う熱を、美依に伝える。
ありのままの……らしくない、素直な本音を。
「お前を俺のものにしたい、美依」
「光秀、さ……」
「ずっとお前が欲しかった、心も、身体も……全て俺だけのものにして、俺だけを見るようにしたかった」
「……っっ」
「お前の事が……大好きだ、美依」
その華奢な身体を掻き抱き……
そのまま、腕の中に閉じ込めた。
もう二度と、この温もりを手放したくはなかった。
可愛い美依。
愛しくて、胸が潰れそうに恋しくて。
美依を求めて、心が声を上げる。
「……私も、です」
すると、少しの沈黙の後。
美依が遠慮がちに、腕を背中に回してきた。
その細い腕で、しっかりしがみつきながら……
顔は上を向いて、視線を絡めてくる。
「光秀さんの事、大好きです」
「美依……」
「好きって気がついて、どうしていいか解らなくて、逃げちゃうくらい……貴方が好きです」
「……もう、逃げないのか?」
「……はい」
涙に濡れた、黒真珠の瞳。
昂揚した頬も、愛らしい言葉を紡ぐ唇も。
全てが煽情的で、己を激情へと流していく。
もう一度片手を頬に当て、美依の顔を固定し。
そして、最後の『選択』を迫る。
「……全て奪ってもいいんだな?」
「……はい」
「嫌だと言っても…逃がさないからな」
「……逃げませんよ」
「俺は、心も身体も、俺だけのものにしたいと言ったんだぞ。その意味が解るか」
すると、美依はゆっくり頷き……
華火よりも華麗で、まばゆい笑みを浮かべた。
「子供扱いしないでください。私の全ては……とっくに貴方のものですよ、光秀さん」
(……ああ、敵わんな)
こんな小娘に、ここまで惚れ抜くとは。
我ながら呆れてしまう。
それでもいいと思えるのは、きっと美依だから。
華火よりも焼け付くような熱情は、身体を火照らせ。
そして…欲しいがままに、欲望を走らせる。