〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第4章 華火と微熱と光秀さん《後編》❀明智光秀❀
「み、光秀、さっ……」
「……人が居ると、こうは出来ないだろう?」
「……っっ」
「ほら…目線が下がっているぞ、花火を見るんじゃないのか」
「あっ……」
そのほんのり赤く染まった細い首筋に、唇を押し当てると。
美依は息を詰めて、身体を震わせた。
むせ返るような、甘ったるい美依の匂い。
それは、身体の感覚を鋭くさせ、芯に熱を呼び起こす。
「美依……」
ドンッ…パラパラパラ……
華火の音。
頭上には、華麗で儚い炎の華。
お前への想いも、咲いて花開いて。
────散る前に、伝えなければ
「お前が……好きだ」
「…………っっ!!」
ドンッッ!!パラパラ……
美依が身を震わせた、その時。
一際大きく華火の音が鳴り響いた。
首筋から視線を上げれば、大輪の華火が散る瞬間で。
まるで、この身の想いのようだ。
そんな事を思って、苦笑が漏れた。
「……ず、るい、ですっ…………」
すると。
美依が絞り出すように声を発したかと思ったら。
身体ごと振り返り、睨みつけてきた。
真っ赤に潤んだ瞳、昂揚した頬。
そんな煽情的な顔のまま、こぶしでドンドンと胸元を叩いてくる。
「なんでですか、どうして光秀さんはいつもそうなんですか!?」
「美依……」
「いつも私に意地悪して、振り回して、それなのに優しかったり、強引だったり、私はいつもドキドキして、馬鹿みたいにドキドキして、目も合わせられなくて、光秀さんを避けるしか出来なくて……」
「……っっ」
「私をどうしたいんですか、こんなに、私を……!」
ぽろり、と美依の瞳から涙が零れる。
透明な雫は、まるで真珠のようで……
きらきらと光って、頬に筋を作る。
「こんなに光秀さんを好きにさせて、どうしたいんですか……!?」
(…………っっ)
赤裸々な想い。
甘く、締め付ける感情は。
まるで堰を切ったように溢れ出す。
可愛い美依。
可愛くて、愛しくて。
『欲しい』と。
馬鹿みたいに欲しいと。
抑え込んでいた想いが。
えげつないほどに侵食していく。