〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第35章 淡紅染まりし蜜一夜《前編》❀織田信長❀
「────好きな人がいるのに、欲しいの?」
(え……?)
意味が解らず、私は目を見開いたまま口を噤む。
すると、右京さんは親指で私の下唇に触れ、やんわり押し開いた。
「あ……」
「美依さん、今自分がどんな顔してるか解る?すごい物欲しそうな顔してるよ?」
「え……?」
「顔も赤いし、目は潤んでるし、身体は暑そうだし…仕方ない子だな」
「……っっ!」
すると右京さんは、いきなり私の唇をちゅっと啄んだ。
びっくりする間もなく、また唇が重なる。
今度は深く、少し開いた唇から強引に舌がねじ込まれてきた。
「んっ…ふ、んぅ……!」
逃げようとしたら、それをさせないように、片腕でがっちり身体を抱えられてしまい……
もう片腕は、強く後ろ頭を押さえてくる。
逃げようとしても、逃げられない。
男の力全開で、逃げるのを阻止されてしまっている。
しかも、ねじ込まれた舌は口の中を這い、私の舌を上手く絡めとってきて……
お酒でふわふわしている頭が、余計に思考回路を奪われていく。
「んっ…はぁっ、ぁっ……!」
「んっ…美依……」
「やっ…んんっっ……!」
(なんで、なんで……?!)
頭の中で、疑問符ばかりが浮かぶ。
必死に身体をよじって抵抗していると、ちゅっと水音がして唇を離された。
そのまま右京さんは私をぎゅっと抱き締め……
耳元を噛みながら、甘い声で囁いてくる。
「俺にしときなよ、美依さん」
「え……?」
「今ここに居るのは俺でしょ?火照ってるなら、癒してあげるから」
「な、何を、言って……」
「幸い、誰も居ないし」
「あっ……!」
途端、着物の裾が割られた感じがして、私はびくっと身体を震わせた。
次の瞬間、脚に触れてきた熱く硬い手のひら。
それは、いやらしく太ももを何度も何度も撫であげる。
(気持ち、悪い……!)
そう思っても、抱き締められている身体は逃げられない。
しかも……
お酒のせいで身体が言うことを聞かずに、触れられる事でどんどん体温を上げる。
そんな私の様子を見て。
右京さんはさらに可笑しそうに言葉を紡いだ。