〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第35章 淡紅染まりし蜜一夜《前編》❀織田信長❀
「たまには町娘達と交遊してこい。ただ…帰りは迎えを寄越す、それだけは承知しろ」
「解りました、信長様ありがとうございます!」
(やった、楽しみ……!)
────こうして
案外、外出許可はあっさりと下り、私は女の子達と次の日の晩に夕餉を一緒にする事になった。
しかし、私はこの時、何故気づかなかったのだろう。
別に食事を一緒にするだけなら、昼餉でも十分なのに、あえて夜という時間を選んだ事に。
この時すでに、私の知らないところで話は進み……
私が起こした『勘違い』に寄って、私は自分自身を窮地に追い込むことになるのだ。
────…………
「俺は右京、呉服問屋で働いてる、よろしくな」
「俺、弥助!寺子屋の先生、よろしくー!」
「あ、俺の名前は……」
(ちょっと…こんなの、聞いてないよー……!)
次の日の夜、ある食事処の席にて。
私は内心焦った嫌な汗をかきながら、その場に座っていた。
茶屋で知り合った子達と夕餉。
それは間違いない、その子達と一緒だし。
ただ──……
『ただ夕餉を一緒にする』だけではなかった事に。
今更になって気がついて、私は俯きっぱなしだ。
目の前には、なにやら男の子が三人。
ニコニコしながら自己紹介をしている。
そして、こちらも私を含め女の子が三人。
三対三で一緒に食事……
つまりこれって、現代で言う『合コン』ってやつではないだろうか。
(うー……どうしよう……!)
私は小さくため息をつく。
私自身、現代に居た時も、合コンなんで行ったことはなかった。
だから、どうやって振る舞えばいいか解らない。
しかも、信長様や秀吉さんには『女の子達と夕餉』と言って出てきたのだ。
それが嘘になってしまった上に、男の子と一緒なんて知られたら……!
(信長様、ごめんなさい……)
心の中で、自分の想い人に謝罪する。
信長様とは恋仲ではないけれど、多分……それなりにいい関係なのかなとは勝手に思ってる。
合コンって、つまりは彼氏を作る場所で……
私にはすでに好きな人がいる以上、誰かとどうこうなる筈はないけれど、でもどこか裏切っている気分にさせられる。
私は信長様に対して……罪悪感でいっぱいだった。