〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第34章 胡蝶ノ乱舞《後編》❀秀吉 × 光秀❀
「ありがとう、これで信長様に羽織が作れる!」
「今日は体調はどうなんだ、美依」
「光秀さん、今日は結構体調いいんです。だから起きていられるし」
「それは良かったな、妹の体調が優れないんじゃ心配だ」
「ごめんね、秀吉さん。早く天主から出られるといいな」
にこにこと可愛らしく笑う美依に、秀吉も光秀も頭を撫でそうになるが、それはぐっと堪え……
二人は顔を見合わせ、少し苦笑したように口元を緩めた。
────あれから、美依は
信長の元、天主に軟禁状態の日々を送っている。
それはもちろん、身体に溜まった『香の成分』で、美依を暴走させない為だ。
秀吉と光秀と美依、三人での行為の時に香を身体に塗りまくった影響で……
美依は異性が少しでも身体に触れるだけで蜜を垂らし、喘ぐまでに感度が上がってしまった。
故に、美依に触れるのは一切禁止。
美依は最近皆が頭を撫でてくれないのを、不思議に思っているようだ。
また、秀吉と光秀との行為の後、意識を飛ばした美依は、完全に記憶からも行為の事実を消し去った。
今は単に体調が優れないから天主で面倒を見てもらっている、程度の認識である。
「お、二人とも来てたのか。美依、飯だぞ」
「やれやれ、貴様ら公務をさぼるな」
その時、天主の入口から、政宗と信長が揃って姿を見せた。
政宗の食事と聞いて満面の笑みの美依とは裏腹、秀吉と光秀は腰を折って頭を垂れながらも……
最近の二人の関係に、やや疑問を呈する。
「……最近、やたら信長様と政宗はご一緒ですね」
「政宗に特殊な仕事を頼んでいてな、逐一報告を受けるから、一緒にいる事が多い。それだけだ」
「秀吉、信長様にもお考えがあるのだろう、無粋な詮索はよせ」
「……まぁな」
訝しむ秀吉をなだめ、光秀と秀吉はそのまま揃って天主を後にした。
天主に残った信長、政宗、美依。
美依が嬉しそうに、食事をするのを横目で見ながら……
信長と政宗は美依に聞こえないように、こっそりと小声で話し出した。