〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第34章 胡蝶ノ乱舞《後編》❀秀吉 × 光秀❀
────それは、誰にも解らない色魔の戯言
「挿すぞ」
「せーの…………」
────ぐちゅんっっっ!!
「……っっ!!」
秀吉と光秀が声を一つにした刹那……
上の口と下の口、両方から熱い高まりが差し込まれた。
見えない世界に──……
鋭く貫く、光が走った気がした。
────…………
「え、あの香の本当の怖さ、ですか?」
安土城、天主。
信長の命令で天主に赴いた政宗は、信長と向かい合って座りながら、疑問符を信長に投げかけた。
信長は脇息にもたれて座りながら、扇子を広げて扇ぎ。
さも、可笑しそうな口調で政宗に答える。
「あの香を付けた者は、自分が交尾が出来ると周りの雄に知らしめ、その身の虜にさせる、匂いの成分が含まれている…のは知っているな」
「それは存じています」
「それだけでも十分に恐ろしい事なのだが、あの香は肌に塗ると、肌から吸収し…成分が変化して、催淫剤のような効果をもたらすらしい」
「催淫剤のような効果……」
「そうだ、まず匂いで雄を惹き付け、それが肌から身体に浸透し、己自身が催淫する事で…より雄を誘って交尾を促すのだ。しかもそれは、毒のように少しずつ少しずつ体内に溜まっていく」
「……溜まったらどうなるんですか?」
「解毒出来ない媚薬が身体に溜まるようなものだ、どうなるかは……想像に容易い」
その『香の本当の正体』に思わず背筋が伸びる。
もし、あれを美依に使い続けていたとしたら……
政宗は思わずそんな事を考え、喉をゴクリと鳴らした。
「……香は今どこに?」
「知らん、美依から取り上げた後、保管していたが誰かが天主から持って行った」
「危なくないですか、それ……」
「天主に入れる人物など決まっている、そして、最近の美依の様子を注意深く監視していれば……誰かが美依に香を渡した事など明白だ」
信長はくくっと笑って扇子を閉じると。
まるで『興味があってたまりません』と言った表情の政宗を見ながら、文机に手を組んで肘を付き……
すべてを見透かしたかのような紅い瞳を、ゆっくり細めた。