〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第33章 胡蝶ノ乱舞《前編》❀秀吉 × 光秀❀
「美依の身体、火照っていただろう?」
「あ、ああ……」
「俺があの香に魅せられ、散々抱いた後だからな」
「なっ……」
「この小娘は俺達を手玉に取って、欲のはけ口にしていたらしい。自分達の前でしか香を付けないと、同じ約束を同じように俺達にしていたんだ」
(光秀さん……!!)
知られてしまった。
私が必死に隠した事を、晒されてしまった。
秀吉さんから向けられる視線が痛い。
私が光秀さんに顎を捕えられながらも、秀吉さんの方を見てみると。
「……そーゆー事かよ」
優しさしかない、秀吉さんの眼差しが翳ったのが解った。
そして、代わりに宿ったのは。
なんの感情もない、黒い熱。
情欲のような熱っぽさを孕んでいるのに、まるで曇った硝子玉みたいに、光を感じられない。
「秀吉さん…………きゃっ!!」
が、次の瞬間。
秀吉さんは私の肩を掴み、一気に畳へと身体を押し倒した。
痛いくらいに畳に押し付けられ、表情を歪ませながら秀吉さんを見上げると……
秀吉さんは私を見下ろし、見たこともないような鋭い視線を浴びせてきた。
「俺を弄んだのか、美依……」
「秀、吉、さん……」
「俺に嘘をついて、光秀にも抱かれていたんだな。どうだ、光秀は俺よりお前を甘く啼かせたか?」
「話を聞いて、秀吉さん……!」
「言い訳だろ?そんなモンは聞きたくない」
秀吉さんは、ふっと冷たく笑うと。
太ももで私の身体を挟み、上半身を持ち上げた。
そして光秀さんに、当たり前のように告げる。
「美依への仕置き、お前も付き合うか?」
「当然だ。美依には言ってあったからな、約束を違えたら仕置きだと」
「なら話は早い……どうやって啼かすか」
「秀吉、俺にいい案がある。耳を貸せ」
すると、光秀さんがコソッと秀吉さんに耳打ちし。
秀吉さんはそれを聞いて、ぷっと吹き出した。
「そりゃいい、そうするか」
「美依には容易いかもしれんが」
「それはそれで、若干複雑だけどな」
何やら話がまとまりかけている。
仕置きって……
私は一体、この二人に何をされるの……?!
声も出ずにいると、二人は私を見下ろしてきて。
にやりと不敵に笑って言い放った。