〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第4章 華火と微熱と光秀さん《後編》❀明智光秀❀
(……お前も同じ感情を抱いていればいいのに)
こちらばかりが、心が浮ついているのは癪で。
美依も同じ事を思っていればいいのに、と同等の感情を求めてしまう。
ただ美依がいるだけでいいと。
今そう思ったばかりなのに、何を欲張りになっているのか。
それでも、このかけがえのない時間を大切にしたい。
美依とこうして共に過ごす時間を。
そう思って───…………
握り返してくる手を離さないように、少し力を込めた。
────…………
「わぁ…美味しい!光秀さん、美味しいですよ」
「はしゃぎすぎだ、また口にくっつけて……本当に子供だな。向こうに風車が売っている店があったぞ、行ってみるか?」
「はいっ」
美依の手を引き、屋台を回る。
人混みがすごいので、離さないように手を引き、ぶつからないように肩を抱き……
店を案内してやれば、美依は満面の笑みで喜んだ。
射的で遊び、景品を落としてやれば手を挙げてはしゃぎ。
あんず飴や鮎の塩焼を頬張っては、その度に愛らしい笑顔を向ける。
櫛や簪に目がいって、興味がコロコロと変わったり。
子供だなと思いつつも、可愛らしすぎて、目が離せなくて困る。
こんなに掻き乱されている内心を、美依は解らないのだろう。
そんな振り回されている自分に呆れても……
それもいい、と思ってしまうあたり、もう中毒になっているのかもしれない。
「ほら、落とすなよ」
買ってやった鮮やかな風車を美依に手渡し、頭をぽんと撫でる。
美依は『ありがとうございます』と微笑み、それを受け取ったが……
こちらをじーっと見て、少し恥ずかしそうに目を逸らした。
「どうした」
「いや、あの……」
「なんだ」
「光秀さん……今日ちょっと雰囲気が違うなって思って。その、色っぽいと言うか……」
そう言われて、少し面食らう。
確かに少し髪型は違うかもしれない。
と言っても、前髪を少し上げて、髪を耳に掛けただけだ。
思わず、少し悪戯心が沸いて……
久しぶりに美依の顔を意地悪く覗き込んだ。