〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第31章 〖V.D企画〗甘い恋人-家康編-❀徳川家康❀
「しかし、家康。随分と昨日は愛し合ったと見える」
すると、突然。
光秀さんが何を思ったか、にやりと笑って核心を突いてきた。
当然、心当たりのある俺は、どきりとしたけれど。
別に話すような事でもないので、平然を装い、いつも通りに淡泊に受け答えをした。
「……別に、何もないですよ」
「ほう、気づいていないのか?」
「え?」
疑問を返すと、何やら光秀さんは艶っぽく笑い……
すっと、俺の首筋を指で撫でてきた。
ぞわっと悪寒がするや否や、さらに光秀さんは色っぽく言葉を続ける。
「痕……付いているぞ?」
(……っっ!)
その一言で、反射的に首筋を手で覆うと。
一本取ったと言う表情の光秀さんに、苦笑いをする秀吉さん。
対照的な二人でも、どうやら俺の気づかぬ『愛し合った痕』は完璧に見抜いていたようだった。
「光秀…それは見て見ぬふりしてやらないと」
「俺はこーゆー性格なんでな、相手の弱点は突いてこそだぞ、秀吉」
「野暮な事をするなって言ってんだ」
「だが、気づかせてやらないと家康が恥をかくんだぞ?」
「あ、あのですね……!」
顔が火照っていくのが解る。
昨日の情事を全て見透かされていたような、そんな気さえして……
なんだか、居ても立ってもいられない。
「もう行ってください、ありがとうございました」
「なんだ、折角様子を見に来てやったと言うのに」
「もう本当にいいですから」
「悪かったな、家康。美依が起きたらゆっくり広間に来い。軍議を兼ねて、みんなで朝餉にするからな」
光秀さんと秀吉さんは、交互に俺の頭を撫で。
そして、そのまま笑みを浮かべて、立ち去って行った。
なんだろう、このしてやられた感。
情事の噛み痕を見られて、動じてるのは俺だけで。
二人はなんてことなく、余裕な感じも。
(くそっ…なんか、悔しい……)
「んぅ…家康……?」
その時、背後から寝惚けたような可愛い声が聞こえ。
振り返ってみれば、一糸纏わぬ俺だけの天使が目覚めたようだった。
ふわふわと俺の姿を探しているようで……
俺はその姿に可愛いなと思いながら、美依の傍に寄り、しゃがみこんで視線を合わせた。