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〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀

第4章 華火と微熱と光秀さん《後編》❀明智光秀❀





頑固で、頑張り屋で、責任感が強くて。
素直だけど、意地っぱりで……


ふと見せる、柔らかな笑顔も。
鈴を転がすような、心地良い声も。




(俺は、お前が…美依の全てが可愛いと思った)




そんな感情に名前を付けるのは、簡単で。
その感情に抗えない自分と現実を。

馬鹿みたいに、受け入れるしかなかった。

平仮名で二文字。
漢字にすれば、たった一文字。

甘く、切なく、心を鷲掴みにする。
その感情。



『愛』



美依、俺は。
いつの間にか、こんなにも。


────お前を、好きになっていた。


囚われた心は赤裸々に。
お前を求めて、声を上げていた。

















────…………

















三日後の酉の下刻、神社の鳥居の前。

光秀は腕を組み、鳥居に身体を持たれ掛けて、美依を待っていた。

この日のために、浴衣を新調し。
わざわざ風呂にも入って、髪は油を付けて整えて。


本当に美依が来るかどうか、解らないのに。
不安と期待と、色んな感情が湧き上がっていた。



少し早めに来て、わざわざ屋台を下見までした。
美依の好きそうな店が出ている場所や、花火の上がる場所も確認して。


あの小さな身体でも、花火がよく見える場所を探したりして。


我ながら呆れてしまう。
これで来なかったら、どうする気なのか。


何度かの溜息をついて、空を仰げば。
濃紺の夜空に、溜息と夏の熱い空気が入り混じって、溶けていった。





「光秀、さんっ……」




と、その時。
小さな声で名前を呼ばれ、反射的にそちらを振り向いた。

姿を確認して、目を見開く。

少し離れた所に、可愛らしく浴衣を着飾った……
愛らしい『天女』が居た。




「美依……」

「お待たせして、すみません……」




頬を赤らめ、少し俯く美依。
そのまま、傍まで近づいてきて……

ぺこりと小さく頭を下げた。

生成りの生地に、桜や萩が描かれた可愛らしい浴衣。
髪は丁寧に編み込まれ、綺麗に結い上げられて、簪で止められており。

いつもより、少しきちんと施されている化粧も。

なんとなく艶っぽく、女の色香を放っている気がして……

少しだけ、鼓動が早くなった気がした。



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