〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第31章 〖V.D企画〗甘い恋人-家康編-❀徳川家康❀
「────美依も甘味を作るの?」
俺が問いかけると、美依は少し目を見開き。
そして、少し頬を赤くしてそっぽを向いた。
この反応は……作るんだな。
それが解った瞬間、今度は相手が気になる。
美依の甘味をもらうのは誰だろう。
信長様?秀吉さん?
……それとも、俺?
「あげる相手、居るんだ」
「えぇと……うん」
「……そっか」
だが、それ以上は聞けなかった。
気になりつつも、他の男の名前が出たら……
正直、それはちょっと辛い。
美依は好きなのは誰?
俺の事も、少しは気にかけてる?
美依に聞きたい事はいっぱいある。
でもそれは、思うだけで、口に出せないまま。
胸の中を焼き尽くす程、焦がれているけれど。
聞けない、聞いた事で今の関係が崩れてしまったら。
それを思うと……言えない。
────本当に、何臆病になってるんだ、俺
こんなにも人を好きになると、色々自分が弱くなると初めて知った。
弱い自分は大嫌いだ。
素直に聞けない天邪鬼な性格も。
結局、何も核心は突けないまま、俺は美依の隣で小さくため息を漏らした。
そんな俺達の姿を遠巻きで見られていると気付かずに。
────一方で
そんな二人のやり取りを少し離れた所で見ていた秀吉と光秀は、お互いじれったそうにため息を付いていた。
「本当にもどかしいな、あの二人。どう見たって両片想いってやつだろ?」
「家康の性格では素直には言えないだろう、それに美依も…少し奥手になっているな」
「どうにかしてくっつけられねぇかな」
「美依に聞いたんだが、明日は女が好きな男に甘味を渡す日らしい。そこでだ、俺にいい案がある。秀吉、耳を貸せ」
光秀がにやりと笑い、秀吉にこそっと耳打ちすると。
秀吉は一瞬呆れたように口を開けたが、やがて何か思い直したように、顎に手を当て。
「…まぁ、そのくらい強行突破しなきゃ無理かもな」
意外にすんなりと光秀の『いい案』を肯定した。
家康と美依をくっつける為に。
兄貴分の二人がこっそり動き出しているなんて…
当事者の二人は全く気付かぬまま、『ばれんたいんでー』当日を迎える事になる。