〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第30章 〖V.D企画〗甘い恋人-政宗編-❀伊達政宗❀
「はい、政宗、あーん」
「あーんって…」
「味見だよ!それに、政宗は私の失敗作しか食べてないから、ちゃんとしたのを食べて、ほらほら」
「部屋で食えばいいだろ?」
「あったかいほうが美味しいから!」
ニコニコふにゃふにゃ可愛らしく笑むので……
俺はちょっと面食らいながらも、口を開いた。
そのまま、口に入ってきた甘味。
それは入れられた瞬間から、舌が痺れるんじゃないかと思うほど甘ったるく……
なんだか美依みたいだな。
そんな事を、ふと思った。
そして、俺はそれを噛んで飲み込むと。
苦笑いを浮かべながら、美依の額を手でこんと小突いた。
「甘すぎだろ、これ」
「でも、美味しいでしょ?」
「まぁ、美味い事は美味いが…」
「うふふ、良かったぁ」
(……半分以上は俺が作ったんだがな)
思わずそんな事を思ったが、それは口にはしないでおく。
俺はおもむろに美依の腰を抱き、ぐっと引き寄せ。
そして、間近で顔を覗き込んだ。
すると、美依は少しびっくりしたように顔を赤くし。
俺の胸に手を添わせながら、小さく首を傾げた。
「どうしたの?いきなり」
「いや…ばれんたいんでーっていいなと思って」
「え?」
「お前の甘味は食えるし、夜は理由なく思いっきり愛を誓い合えるし」
「…ばかっ、そんなの……」
「ん……?」
美依はますます頬を染め、少し口篭る。
そして、一瞬目を泳がせたかと思ったら、もう一度しっかりこちらを見つめ、言葉を紡いだ。
「そりゃバレンタインデーは特別だけど、私はいつだって政宗に甘味は作るよ、頑張って練習するし…」
「美依……」
「それにっ…政宗に愛されるの、すき、だから……」
「だから?」
「それ以上先は言わせないでっ……!」
(なんだこれ、すげぇ可愛い)
────とびきり甘いやつがいい
美依から貰うものは、何でも。
こんな風に可愛いから、だから…
奪わずにはいられなくなるんだな。
それがみっともなく溺れた姿だったとしても。
美依にとろとろに蕩かされた心は。
熱を上げ、蜜華の色香に誘われて。
そして、馬鹿みたいに欲情しては、この身を焼け焦がすのだろう。