〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第30章 〖V.D企画〗甘い恋人-政宗編-❀伊達政宗❀
「解った、ゆっくり帰ってくればいいんだな?」
俺は苦笑し、美依の唇を一回啄む。
そして、そのまま腰に腕を回し、美依を引き寄せた。
『悪い事じゃない隠し事』は気にはなる。
しかし、美依の事を信じているから。
敢えてそれに乗ってやろうと、今決めた。
(それに、こんな顔で睨まれちゃな)
結局美依には甘いなと、自分でも思う。
でも、惚れてるってそんなモンだ。
俺は引き寄せた美依をきゅっと抱き締め、そして。
耳元に唇を寄せて、まるで甘く言い聞かせるように美依に言った。
「……ゆっくり帰って来てやるから、帰ったらちゃんと理由を説明しろよ?」
「…っっ、わ、解った……」
「よし、いい子だ。俺が納得するような理由じゃなきゃ、それこそお仕置きだからな」
「え、そんなぁ」
また若干むくれる美依の鼻先を、ちょんと啄む。
甘いな、美依は何処も彼処も。
俺はそんな事を思って、思わず苦笑いが漏れた。
────…………
「……それ、絶対なんか企んでるでしょ、美依は」
城での軍議が終わった後。
今朝の御殿での一部始終を家康に話した所……
さも面白くなさそうに、家康が口を開いた。
天の邪鬼な態度は取っていても、なんだかんだ家康も美依の事を気に入っているのは知ってる。
だが、誰にも渡す気はないが。
「企んでるって、例えばどんな事だ?」
「知りませんよ、ただ美依の考える事なんで、そんな大した事では無いと確信出来ますが」
「お前…相変わらず辛口だな」
しれっと縁側から庭を見つめる家康の横に立ち、少し溜息をついて答える。
そして腕を組み、改めて首を捻った。
『美依の大した事ない企み事』とは一体なんだろう。
ゆっくり帰って来いと言うのだから、勿論御殿で何かやっているんだろうとは憶測がつくが。
俺を驚かす事か?
と言っても、誕生日はまだまだ先だし、特に祝われる事も無いし……
あとは、何か行事とか?
如月の今は、既に節分は過ぎたし、特にこれと言った行事もないような……
ますます解らなくなり、首を捻った。