〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第30章 〖V.D企画〗甘い恋人-政宗編-❀伊達政宗❀
────とびきり甘いやつがいい
お前から貰えるものは、なんだって
甘味も、気持ちも、口づけも
とろとろに蕩けるほど、甘いやつ
それは、まるで何かの媚薬だ
俺は熱を上げ、火照って、そして、
お前を求めて心は駆け上がる
────美依、愛してる
だから、今日も俺を虜にさせてくれ
お前の魔法で俺を惹き付けて
そして、離れられない程に溺れさせろ
「え、ゆっくり帰って来い?」
朝、御殿の玄関で見送られながら。
俺は美依の言葉に、思わず眉をひそめた。
美依と恋仲になって二ヶ月。
最近美依は一緒に俺の御殿に住むことを許され。
俺が城などに出掛ける際には、必ず玄関に見送りに来るのが日課になっていた。
いつもだったら、ふにゃふにゃ笑いながら『早く帰って来てね』と見送ってくるのに……
今日は何故か『遅くなって構わないから、ゆっくり帰って来い』などと言う。
「なんだ、早く帰っちゃいけない理由でもあるのか?」
「えっ…そーゆー訳じゃないけど……」
「なら、なんでそんな事言う」
「そ、それは、えぇと……」
(……絶対なんか隠してる顔だな、これ)
しどろもどろになって、目を泳がせる美依。
これは絶対なんか隠し事がある。
美依は隠し事が、本当に下手だ。
まぁ、そんな素直すぎる所が可愛くて仕方ないが。
俺はおもむろに美依の顎を指で掬い上げる。
そして間近で黒真珠のような瞳を見据えながら……
美依を甘く追い込むように問う。
「……悪い子はお仕置きだぞ」
「え?」
「隠し事をするのは悪い子だろ、お仕置きだな」
「ち、違うよ、悪い事じゃないよ!」
「成程、悪い事じゃない隠し事か」
「あっ……」
「悪い事じゃなくても、言えないのか?」
「うー……」
若干涙目になって睨んでくる美依。
この様子では、確かに『悪い隠し事』ではなさそうだ。
では、なんの隠し事なのか。
確かにそれは気になるが……
口をへの字に曲げているし、意外に頑固な美依の事だ。
このまま問い詰めても、簡単には教えてくれなさそうだ。