〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第29章 《桃源郷物語》欠片-kakera-❀伊達政宗❀
「ばっ…馬鹿にしてたんでしょうっ……!」
美依は、やっとと言う感じで声を絞り出した。
脚をぎゅっと閉じ、はだけた前を掻き合せて。
痛々しいくらい純粋な瞳で、睨みながら。
儚いくらいの想いを、紡いだ。
「そうやって…いつもいつも、私をからかって、私が何も知らないからって…馬鹿にしてたんでしょう!」
「美依……」
「それでも…嬉しかったのに、政宗が、なんだかんだ構ってくれるの、すごく嬉しかったのに…!」
「……っ!」
「確かに私は、経験は少ないけど、でも酷いよ…私の事、好きでもない癖に、こんな風に身体で遊ぶなんて…!私は…私は……!」
「政宗の事、すきなのに──……!!!」
(…………っ!)
純粋で、どこまでも真っ白な美依。
ウブで素直で、汚れていない。
────可愛い可愛い美依。
その顔が崩れる所が見たかった。
傷つけたかった訳じゃない。
俺の手で、快感を与えて、喘がせて。
何も考えられないくらいに──……
気持ち良く、してやりたかった。
そう、俺の、この手で。
『いつまで誤魔化すんですか、美依への気持ち』
家康の声が頭に響く。
心から見え隠れしていた、苛立ちの答え。
今、コトリと音を立てて──……
心の空いた隙間に、欠片がハマった気がした。
ここへ来た、本当の理由。
美依との情事を望んだ、理由。
(美依と、繋がりたかった)
気持ちが無くてもなんて、嘘だ。
どこかできっと、淡い期待をしていたのだ。
美依は自分を受け入れると。
本当は欲しくて堪らなかったのに、
なんだかんだ言い訳をつけて。
知らないから教えてやるとか、
格好つけて、自分に言い訳して。
本音は、きっと。
(俺は、美依の事が──……)