〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第29章 《桃源郷物語》欠片-kakera-❀伊達政宗❀
「なぁ、御殿へ来いよ。なんで誘っても来ないんだ?」
「政宗の御殿なんか行ったら、変な事されそう」
「変な事って?」
「そ、それは、その……」
美依が俯いて口籠もる。
こういう台詞が出ると言う事は、それなりの知識はあるのだ。
だから、生娘ではない。
ただ、経験は違う。
この反応は『頭でっかち』の証拠だ。
政宗はくすっと笑うと、美依の衿に手を掛け、自分の方に引き寄せた。
そして美依の耳元で、艶っぽい声で言った。
「…まぁ、来たくなったら来い。その代わり…来る時は覚悟を決めろ?……俺に愛でられる覚悟を、な」
その一言に。
美依は硬直して、動かなくなったのは間違いない。
真っ赤な顔をして、唇を噛んで。
(やっぱ、おもしれぇ……)
何とかして、コイツを愛でる方法はないか。
簡単に抱くだけじゃつまらない。
────何か、わくわくするような面白い方法は。
────…………
軍議後。
政宗はやけに上機嫌だった。
今日の軍議の最後に上がった『桃源郷』と言う名の宿。
なんでも、秘密の情事を承る怪しい宿で。
何をしても、その宿の事は綺麗さっぱり忘れてしまうらしい。
つまりは、何をやらかしても『無かった』事に出来る。
(美依を愛でるのに、都合がいいな)
これが上機嫌の理由だ。
情事なんてものは、色々面倒くさいもので。
やり方次第では後々揉め事になったり、色々気を遣わねばならないのは確か。
まぁ、揉め事にするのは出来ない男のする事だが。
その種が消えると言うのは、これ程都合の良い事は無い。
だって、何だって試せる訳だし。
何に美依は一番感じて悶えるか。
道具か、薬か、己の淫らな手淫か……
それを想像するだけで、血液が沸騰するくらい身体が熱くなる。
あの無垢な身体が濡れ、喘ぐ姿がやっと見られる……
それは何よりの『面白い事』だ。