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〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀

第28章 《桃源郷物語》華音-Kanon-❀豊臣秀吉❀






「私……ずっとずっと、秀吉さんが好きだった」





その一言に、目を大きく見開く。
美依はしっかりとこちらを見据え、決して視線を逸らそうとしない。



瞳の中がキラキラと光り、思わず吸い込まれそうな感覚に陥った。




「本当は好きなんて伝えるつもりは無かった。信長様を傷つけてしまうから……あの方も私をとても愛してくれた」

「美依……」

「だから、祝言を挙げると聞いた時……こんな気持ちは封印して、信長様を必死に愛そうと決めた。でも、秀吉さんが同じ気持ちで居てくれるなら私……っ!」

「……っ!」




その紡がれる美依の想いは、心に甘く響き……
たった一言で理性は脆くも崩れた。






「好き…秀吉さんのこと好きだよ。だから、お願い…私を抱いて。私を……貴方の物にしてください」






(美依…………っ!)





「あっ……!」




気がつけば、そのまま美依を畳に押し倒し、組み敷いていた。

着物を次々に乱し、その柔らかい肌に手を滑らせていく。

吸い付くような肌の感触が堪らず……
煽りに煽られ、制御なんて効かない。




「美依、愛してる……!」












想い合っていたのだと。
何故、この状態になるまで気づけなかった?

何故、この宿に来る前に解らなかった?

皮肉なもので……
想いを伝え合った事は、美依は忘れてしまう。

『信長様と祝言を挙げて、気持ちを封印する』まで記憶は戻ってしまい……

お互い気持ちが通じ合っているのに、離れねばならない。

もし、ここが『桃源郷』で無かったら。
普通の宿だったら。


もう少し、違った道は見えたのか?


この宿での事は美依の中では無かった事になってしまう。
百を注いでも、全て零へと──……

覚えているのは自分だけ。
肌の感触や、ぬくもりや……


言葉よりも確かな……何か。


その何かは、今宵で熱く燃え、
そして静かに消えていく。

消えて欲しくないのに──……
消えて、いく。





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