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〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀

第28章 《桃源郷物語》華音-Kanon-❀豊臣秀吉❀







「お前が……好きだ…………」






「…………っっ!」



告げた途端に、美依の身体がびくんと硬くなる。
後ろからじゃ表情は見えない。

しかし―……
一旦溢れ出したものは、歯止めが効かないのは目に見えていた。

美依を気遣ってやる余裕もなく、ただぶつけるだけの本音が、馬鹿みたいに部屋中に響いた。





「ずっと…ずっとお前の事が好きだった。お前は御館様が好きだと解っていても、どうしても止められなかった」

「…………っ!」

「お前は御館様の元へ嫁に行っちまう。その前に一度だけ……お前が欲しかった。お前が傷つくと解っていても、それでも……」





なんてみっともない男だろう。
相手を傷つけるやり方でしか気持ちを伝えられない。

美依の首筋に顔を埋め、言葉を続ける。
お互いの身体が、小刻みに震えているのが解った。







「俺はお前を諦めなきゃならない。でも、そんな簡単には行かないんだ。お前をどうしょうもなく…愛してしまったから。だから頼む、今夜だけでいい。俺の女になってくれ。俺に愛されてくれ。お前を今夜だけは感じたいんだ……もう、これしか方法がないんだ。美依…頼む……」







情けない男の情けない言い訳を、美依は静かに聞いていた。

暫し無言の時が流れて……
すると、美依は身体に回されている腕に手を沿え。

消え入るような小さな声で、美依は言った。








「…………いいよ」








(え…………?)



思いがけない一言に、思わず目が丸くなる。

腕が緩んでしまい、その隙に美依はくるりと振り返って向き直った。



「…美依……?」



美依の顔は真っ赤に火照っていた。
瞳は潤み、何か熱を帯びた眼差しで……

その艶っぽい表情に思わず押し黙ると、美依はこちらの胸を必死で掴み、こちらの『願い』への『答え』を口にした。





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