〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第27章 《桃源郷物語》序章〜動き出した刹那〜
「……そんな都合いい話、信じられるか」
光秀は少し凄んだ口調で女に言った。
女はただにこにこと笑っているだけ。
それが、やたら腹立たしい。
「だったら身を持って確かめたらいかが?」
「どういう意味だ」
「万華鏡を覗いて見れば良いのです」
「全てを忘れるのだろう?御館様に報告が出来なくなる」
「あら、信じられないと言ってる割に、しっかり信じているじゃないですか」
可笑しそうに、ころころと笑う宿主。
向こうのが、何枚も上手だ。
仕事柄、人はたくさん騙してきた。
敵味方、関係なく。
故に、自分の腹を悟られること無く、相手の腹を探るのは得意だった。
しかし───………
ここまで腹の見えない相手は初めてである。
だったら、実力行使しかない。
男という武器を使って。
「……では力ずくで信用させてみろ」
「え?あ……」
光秀はにやりと笑い、一瞬の隙をついて、女を畳に組み敷いた。
女の手から万華鏡が落ち、畳に転がる。
しっかり両手首を掴み、押さえつけると、女は目を丸くして見上げ……
その不思議がる表情を見ながら、光秀は『信じる条件』を切り出した。
「万華鏡を覗いてやる、その代わり…今から俺に抱かれろ」
「は……?」
「さっき言ったな、万華鏡を覗いた瞬間からを忘れると。つまり、今から覗いても、もう説明された万華鏡の事や宿の内容は、忘れる事は無い……忘れるのは、お前を抱いた事だけだ」
すると、女は驚いたように口を開いた。
「……頭良いんですね、その通りです。万華鏡を覗いて説明を聞いた訳ではないので、忘れる事はありません」
「どうだ、俺を信じさせるのに、その身を捧げるか」
女は押し黙り、光秀を見上げ……
そして艶っぽい表情で笑った。
「いいでしょう……その条件飲んで差し上げます」