〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第26章 白雪-sirayuki-《蜜夜編》❀真田幸村❀
(今の、声…すげー可愛い……)
思わずどぎまぎして美依を見下ろすと、美依は若干瞳を潤ませ、こちらを見上げてきた。
その何とも言えない、煽情的な目。
頭がクラクラして、そのまま喰らいつきそうになり。
俺は心にも思ってない言葉が、ぽろりと口から滑って落ちた。
「へ、変な声、出すんじゃねー!」
「なっ…幸村がいきなり噛み付くからでしょ?!」
「お前が急に色っぽい声出すから、変に心臓が痛くなったじゃねーか!」
「私のせいなの?!」
お互い視線が絡み、睨み合う。
こんな時まで、俺達はこうだ。
(────……なんか、ばかみてー)
本当に、しょーもない。
俺が思わずぷっと吹き出すと。
美依も困ったように、くすっと笑んだ。
「止めるか」
「そうだね、こんな時まで喧嘩したくないよ」
「お前……耳、弱いのかよ」
「え……んんっっ……」
もう一度、はむっと優しく耳たぶを噛むと。
美依が身体をぴくっと震わせ、かっと肌を赤く染めた。
そのまま舌で這うように、耳たぶの縁をなぞったり、息を耳の中に吹きかける。
すると、我慢するようにふるふると震えるので…
俺は思わず、耳元で甘ーく囁いた。
「……お前の弱い所、一個発見だな」
「あっ…耳元で、話さないで……!」
「やっぱ弱いんだろ、耳。すげー可愛い」
「……っっ!」
美依が息を詰め、更に首筋まで赤くさせる。
本当になんだこれ、この可愛すぎる生き物。
俺は少ししかめっ面になって美依を睨んだ。
余裕なんて、かざしていられない。
今でも心がざわついて、色んな感情がせめぎ合ってる。
初めてだから、優しく甘やかしたい自分と。
本能のままに、美依を奪いたい自分と。
────馬鹿みたいに、美依に揺さぶられる
「幸村……?」
名前を呼ばれるだけで、痛いくらい心臓が締め付けられた。
美依の声は、まるで媚薬のように……
俺の中に入ってきて、侵食し始める。
きっとこいつの前では、見せかけの余裕なんて剥がされてしまうから。
俺は美依の額に、コツンと自分の額を付けると。
瞳を覗き込み、まるで唸るように言葉を紡いだ。