〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第26章 白雪-sirayuki-《蜜夜編》❀真田幸村❀
「わぁ…部屋、あったかいっ……!」
その時。
静かに襖が開いて、美依が部屋に戻ってきた。
身体は動かさず、視線だけを美依に向ける。
湯上りの、まだ上気している赤い肌。
髪は乾いていないのか、しっとりと濡れ。
薄い夜着に包まれた身体は、華奢でも女らしい丸みのある線をはっきりと映し出していた。
(……っっ、しまった、すげー色っぽい……)
その普段とは違う色香を放った姿に、更に心が高鳴り落ち着かなくなる。
落ち着かせるように、一回目を閉じ。
手を額に当てたまま、何回か規則正しく呼吸をしていると……
美依が傍にしゃがみ込んだのが解って。
俺の胸辺りに手を当て、ゆさゆさと身体を揺さぶりながら、少し寂しそうな声を出した。
「幸村、寝ちゃったの?」
「……」
「ゆーきーむーらー?」
「……」
思わず目を閉じたまま、だんまりを決め込む。
すると、小さくため息のようなものが聞こえ。
次の瞬間、両頬を摘まれみょーんと伸ばされた。
こいつ……
俺にこんな可愛い悪戯して、解ってんのか?
「幸村ー、えいえい、ほっぺ伸ばしてやる」
「……」
「起きないなら、鼻も摘むよ?」
「……にゃにすんら」
「え……きゃっ!」
俺は咄嗟に、頬を引っ張る手を退け。
そのまま目を開いて美依の両肩を掴むと、ごろんと身体を反転させ、美依を褥に転がした。
身体を転がされた美依はびっくりしたように目を白黒させ……
上から見おろすと、俺の身体の下で悔しそうに唇を噛んだ。
「狸寝入りだっ……」
「はなから寝てねーし、勝手に勘違いしたんだろ?」
「ずるい、幸村!」
「ずるくねー、随分可愛い事すんじゃねーか。鼻も摘むんだっけか?」
「にゃ、にゃにしゅるの……!」
俺がお返しにみょーんと両頬をを伸ばしてやると、美依は舌足らずに話しながら、可愛く睨んでくる。
なんだこれ、すげー可愛い。
俺は余裕があるように、ニヤリと笑うと。
頬から手を離し、耳たぶにかぷっと甘く噛み付いた。
ほんの戯れのつもりだった。
だが───………
「あっ……」
美依が予想以上に色っぽい声を出したので、俺は思わず息を飲んで固まる。