〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第26章 白雪-sirayuki-《蜜夜編》❀真田幸村❀
────それは、雪の宿に咲き誇る恋の華か
舐めらかな肌は赤く染まり、
熱い吐息を絡め合って。
そして常しえに続く、蜜なる夜を。
お前が居るなら、溺れるのも悪くない。
敏感な肌を寄せ合い、過敏に触れ合って。
雪影すら燃えろ、紅に────…………
(…………落ち着かねー)
美依と想いが通じ合った、その夜。
城下に取ったある宿の一室で、俺は心を浮つかせながら美依を待っていた。
あの後、佐助が待っている店に二人で戻り、一応恋仲になった報告をした。
無表情ながらも、佐助はすごく喜んでくれて……
雪も強くなって来たため、早めに店仕舞いをし、宿を借りたわけなんだが。
さっきから、本当に落ち着かなくて困る。
美依は今、湯浴みに行っている。
俺も一足先に湯を浴びて、今は火鉢で部屋を温めながら、美依を待っている状態だ。
当たり前のように、一組だけ敷かれた褥や。
人が来なさそうな、一番奥の部屋に通された事も。
全てが『それ』を物語っているようで……
別に女を抱くのが初めてと言う訳では無い。
数は少なくとも、それなりに経験はしてきたし。
別に特に緊張する理由もない筈なんだが……
(やっぱ相手が美依だからだよな、これ)
確かに『それなりに』経験はしてきたが。
正直な話、ここまで女に惚れ込んだのは初めてだった。
美依は今まで会ってきた女とは明らかに違う。
素直で真っ直ぐで、芯が強くて。
時々感情的で無鉄砲だが、時に聡く女の顔になる。
────惚れない方が、無理だったのだ
「くそ…みっともねー…どんだけ惚れてんだ……」
思わず、ごろんと褥に転がる。
自分にはやるべき事がある、守る国もある。
女にうつつを抜かしている場合ではないのだが……
『幸村、大好き』
ただ今は、あの可愛らしい花を愛でたい。
遠い故郷に咲き誇る、可憐な花のような美依を。
めいいっぱい、めちゃくちゃに可愛がりたい。
そう思って……
赤くなった顔を冷ますように、手の甲を額に当てた。