〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第25章 白雪-sirayuki-《恋情編》❀真田幸村❀
「んっ…美依…んっ……」
「はぁっ…ゆきっ……んぅ……!」
「んっ…はぁっ……」
小雪が舞う中。
お互いを感じ合うように貪る俺達。
もし、このまま肌を重ねてしまえば。
そんな風にさえ思えてきて、一気に思考回路がぼやけて曖昧になっていく。
しかし──……
ここは外だ、しかも今日は雪の降るような寒い日。
そのくらいの分別、俺だって持ち合わせている。
ちゅっ……
音を立てて、やっと唇が離れると。
お互いの唇の間に、名残惜しむようにつーっと銀糸が伝った。
それを見ながら、また二人して真っ赤になる。
俺は美依の肩口に項垂れるように顔を埋め。
そしてぽつりと、更なる欲を口にした。
「あー…まずい、すげー欲しい……」
「幸村……」
「こんなんじゃ我慢出来ねー…もっとお前と愛し合いたい、くっそ…雪なんて降ってなけりゃ……」
「え、問題そこ……?」
「おー、夏だったらこのまま襲ってた」
少し冗談混じりに言うと、美依は小さな声で『ばかっ』と言った。
そして、肩に項垂れる俺の頭を手で撫でてきて……
少し遠慮がちに俺に提案してきた。
「私、この後時間あるよ」
「え……」
「だから、そのっ……大丈夫」
そう言われ、顔を上げると。
美依の林檎みたいに染まった顔が目に入った。
自分で『大丈夫』発言して、照れてんのか。
そう思ったら、なんか可笑しくなって。
ぷっと吹き出しながら、頭の中に浮かんだ疑問を美依に投げかけた。
「だってお前、どっか行く最中だったんじゃねーのか。大通りに居たって事は」
「あ……幸村に会いに行く途中だったの」
「俺に?」
「うん、これを渡したいと思って」
そう言って美依は身体を離し。
先程取り返した巾着をごそごそやって、何かを取り出した。
紙の包みが開かれ、そこから出てきたのは。
対になっている、二つの人形だった。
美依の手作りなのか、温もりを感じさせるような丸っこい形をしたそれは……
それぞれが男と女を表しているようで、優しい表情の顔が刺繍されてあった。