〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第25章 白雪-sirayuki-《恋情編》❀真田幸村❀
「……さみーな」
「……そうだね」
「……雪、だな」
「……うん」
頑張って紡いだ会話も。
途切れ途切れですぐに終わってしまい、さらに沈黙になる。
これでは埒(らち)が明かない。
せめて、この胸の内だけは伝えねば。
俺は一回、ぐっと唇を噛み締めると…
恥ずかしくても目を逸らさないように、美依をしっかり見つめながら、口を開いた。
「……この前は、悪かったな」
すると、俯いていた美依は視線を上げ、丸く大きな瞳で俺を見つめてきた。
そして、その凍えるような唇を開き……
小さな儚い声で、言葉を紡ぎ始める。
「いいよ、なんとなく口づけたんでしょう?」
「……」
「幸村にとっては、別にたわいない事だって解ったから」
「……ちげー」
「え?……わっ」
俺はそのまま美依の手を引っ張ると。
腕の中に、美依の身体を掻き抱いた。
ぽすっといい音がして、美依が腕の中に収まる。
小さく華奢で、ほんのり濡れた身体。
俺はその身体の内側から感じる熱を噛み締めながら…
その想いを、口に出した。
「お前の事が、すげー好きだから」
途端、美依の身体がびくっと跳ねる。
その小さく竦む身体を、さらに強く抱き締めると。
溢れる赤裸々な想いが、止めどなく口からついで出た。
「あの時、お前がすげー可愛く見えた。俺は堪らなくなって、どうしても欲しくて……」
「幸村……」
「だから一旦口づけたら、止まんなくて。あんな風に口づけて…馬鹿みたいに欲情してその先まで見てた」
「……っっ」
「でも、お前に言えなくて、馬鹿みたいに惚れてる事。可愛いなんて言えなくて…つい、なんとなくなんて言っちまった」
なんとなく、で口づけられるわけが無い。
こんなに惚れてる女に。
俺はお前が心底可愛いと思った。
だからその唇に口づけて、何もかも奪って。
全てを俺のものにしたいと。
────身体のど真ん中が熱くなる
こんな感情は初めてだった。
俺はお前に出会って、その感情の名前を知った。
身の内を熱く焼け焦がす想い。
それは、もう自分だけでは留めておけない。
「本当に好きだ、美依…すっげー愛してる」