〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第25章 白雪-sirayuki-《恋情編》❀真田幸村❀
「……あれ、お前のか?」
「う、うん……」
「どうしても必要か?」
「出来れば、返してほしい…」
「解った」
俺は小さく返事をすると。
美依を腕から離し、背中に隠した。
そして、わざと男達を挑発するように……
ふんっと笑い飛ばして、刀の柄に手を添えた。
「そんな巾着一つで優位に立ったつもりかよ、ちいせぇ男だな」
「なんだと?!」
「けど、それを置いてくなら見逃してやってもいい。ただ、これ以上やるなら…覚悟しろよ、お前ら」
「んだと…?!ふざけやがって……!」
男達は馬鹿みたいに挑発に乗って。
一斉に腰の鞘から刀を引き抜き放った。
「二人相手に敵うと思ってんのか?!」
「自分の甘さを呪うんだな!」
「…っっ、幸村っ……!」
美依が小さな名前を呼んだのが合図になり……
男達は馬鹿みたいに振りかぶって。
猪突猛進に、俺に突っ込んできた。
────ギインッッッ!!
つんざく金属音。
男達の刀二本を、腰から抜き放った刀で受け止め。
ぐんっと力を入れて弾き飛ばすと、そのまま男達の刀を薙ぎ払った。
その弾みで、男達の手からは刀がこぼれ落ち。
俺は膝で、腹を狙って鋭利に蹴りを打つ。
「ぐはっ……!」
腹に膝を叩き込まれた男は、その場に膝を着いてうずくまり、またもう一人の男にも、刀で峰打ちする。
一瞬の内に、もう一人も地面に転がり……
俺は落とした刀を踏みつけながら、もう一度刀を構え直して凄んだ。
「巾着置いて、とっとと失せろ!」
「ひぃっ……!」
「こいつ、ただものじゃねぇ!」
男達は巾着を俺の足元に放り投げ。
腹やら何やらを押さえながら、一目散に逃げて行った。
「……なんだ、呆気ねーな」
刀を鞘に戻し、屈んで巾着を拾う。
そして振り返ると、美依が俺の背中で…
胸の前で手を組みながら呆然としていた。
『ほら』と言って、巾着を差し出すと。
美依は怖々と小さな手を伸ばしてきて。
巾着を受け取り、その澄んだ黒い瞳で見つめてきた。