〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第25章 白雪-sirayuki-《恋情編》❀真田幸村❀
「離してっ…」
「いいから来いよ、可愛がってやるから」
「嫌っ…!」
───俺は、頭で考えるより先に身体が動いていた
その声の正体に気づいてしまったから。
男に連れて行かれそうになっている、そいつは。
それは、ここ数日、俺の頭の中に居座っていた女。
あの可愛い笑顔で、可愛い怒り顔で。
俺に口づけられて、真っ赤になって蕩けていた……
────俺の、すげー好きな女
(美依………っっ!)
「なんだ、てめぇ……っっ!」
その時、美依の腕を掴んでいた男が、顔を歪め声を荒らげた。
俺が美依と男の間に割り入り、その薄汚い手を捻り上げたからだ。
俺が男の手を掴んだ事で、美依からはその手が離れ。
その隙に、俺は反対の腕で背中の美依を引き寄せ、自分の懐にしっかり抱き締める。
「こいつに汚い手で触るんじゃねー」
美依は突然の事に目を白黒させていたが……
俺の声を聞くや否や、びっくりしたようにその可愛らしい声を上げた。
「ゆ、幸村っ……?!」
「なにやってんだ、馬鹿」
「ご、ごめん……」
「なんだてめぇ、女の知り合いか!」
もう一人の男が、顔を赤黒く上気させて詰め寄ってくる。
俺は男の手を振り捨てるように、離すと……
なるだけ低く凄みのある声を出した。
「知り合いじゃねぇ、こいつは…俺の女だ」
「幸村……」
美依が小さく驚いた声を上げたのが解った。
────そんな事は嘘だが
まだ、俺のものでは無いけれど、でも。
こんな時くらい、惚れた女を守りたい。
これ以上、こいつに触れてみろ。
ただじゃおかない。
足の一本、斬り落としてやる。
「ふざけんな、いきなり横から入ってくんじゃねぇ!」
「そうだよ、邪魔すんな。『これ』は俺達が持ってるんだぜ、返して欲しくないのか?」
俺が睨んでいると、男達はニヤリと笑いながら…
手に巾着を持って、左右に振ってみせる。
すると、腕の中の美依が息を飲んだのが解って。
俺は美依の耳に唇を寄せると、男達に聞こえないように、コソッと美依に尋ねた。