〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第25章 白雪-sirayuki-《恋情編》❀真田幸村❀
「美依に謝りに行く、店番…頼んでいいか」
すると、佐助は珍しく目元と口元を緩ませ……
『頑張れ』と激励を送ってくれた。
そして、俺は店にある耳飾りを一つ手に取り……
美依に謝りに、安土城へ向かう事にしたのだ。
────…………
(…しかし、どうやって城に入るかな)
手の中で耳飾りを弄びながら。
俺は大通りを歩き、思考を巡らせていた。
考えてみれば、ここは敵地で、自分は『流しの商人』と言う肩書き上…
敵の城に堂々と足を踏み入れるなんて、出来る筈もなく。
『真田幸村』だと名乗れば入れてくれるだろうが…
そんな事をしたら、変に戦に発展しかねない。
(やっぱりこっそり忍び込むしかねーな)
そんな事を考えながら、手の耳飾りを見る。
桃色の花を象った硝子の飾りが付いていて…
また、その硝子の花からは飾り玉が垂れ下がり。
手を動かす度に、ゆらゆらと光を纏って輝いた。
これは、わざと美依が食いつくだろうと思って、わざと店先に置いておいたものだ。
理由は、あいつが好きそうだから。
多分『可愛い!』と目を輝かせるだろうと。
最近では、美依の好みまで把握出来てしまう始末だ。
だから、敢えて持ってきた。
詫びの意味も兼ねて、美依にくれてやろうと。
────結局、美依の事ばかり考えてしまう俺が居る
「……あれ?」
大通りの角を折れ。
少し行った先で、何やら騒ぎになっているのに気がついた。
背の高い大柄な男が二人。
その男に、何やら言い寄られているような、ちっこい女が一人。
見物人も数人……
少し離れた場所から、三人の様子を見ては何か言っている。
「お願い、巾着を返してくださいっ…!」
「だから返してやるから、少し付き合えって言ってんだろ?」
「久しぶりに女を抱きたいと思ってたんだ、返して欲しいなら一緒に来ればいいだろ?」
「……っっ、お断りします!」
(…っっ、この声……!)
聞き覚えのある女の声に、思わず目を見開く。
すると、一人の男が女の華奢な腕を、掴み上げたのが解った。