〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第25章 白雪-sirayuki-《恋情編》❀真田幸村❀
「何があったの、幸村」
佐助の声は落ち着いてはいたが…
『事と次第によっては許さない』みたいな雰囲気を醸し出していた。
俺は観念したように、大きなため息をつき…
そして、美依を怒らせた数日前の出来事を、淡々と話し始めた。
あれは、身の縮むような寒い日。
冷たい手に息を掛けている美依に、俺はある一つの提案をした。
それは近くの神社で温かい甘酒を無償で振る舞っていたから、一緒に貰いに行ってみるかと。
そうしたら、美依は可愛く『うん』と答えたので。
俺は美依を神社に連れ出したのだ。
恥ずかしくて、そのかじかむ小さな手も握ってやれなかったが。
『おいしいね、甘酒』
『おー』
神社の隅で、一杯の甘酒を二人で分け合って…
そんなたわいない会話をしていた時。
ふわりと、粉雪が空を舞った。
雪なんて珍しくもないし、ただ寒いだけだと思っていたけれど。
美依は少し違ったようで。
まるで雪を受け止めるように手を伸ばしながら…
俺に可愛く、こう行ってきたのだ。
『綺麗だね、こうして幸村と初雪が見れるなんて……ちょっと幸せになった』
考えてみれば、この冬初めての雪だった。
でも…俺には、そんな事はどうでも良かった。
『ちょっと幸せになった』
そう、はにかむように笑った美依は。
今まで見てきた中で、一番可愛くて。
凍えたような白く透き通る肌も、花びらの様な唇から漏れる儚げな吐息も…
───全てが、堪らなく愛おしくて
そう思ったら、自然に手が伸びていた。
俺は美依の小さな身体を、ぐっと自分の方に引き寄せ。
そして、まるで貪るように───………
その唇を奪ったのだった。
「……」
俺の話を、佐助は驚きもせず、ただ無表情で聞いていた。
佐助は本当に能面と言うか…
多少の変化は感じられても、そこから意思を読み取るのが本当に難しい時がある。
「おい、何とか言えよ」
「そんなに激しく口づけたの?」
「…まぁな」
「幸村、本当にそれだけ?」
「違うけど」
ここまで言ってしまって、隠すのは利口ではない。
そう思い、その後喧嘩になった流れを佐助に話す。