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〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀

第3章 華火と微熱と光秀さん《前編》❀明智光秀❀





(私をからかって、何が楽しいんだろう?)




淡い色の瞳。
あれを見ていると、全て見透かされているような心地になる。

だからだろうか、苦手な感じがするのは。

別に後ろめたい事はしていないが。
それでも腹の底まで見られているような感じは、あまりいい気分はしない。


さっさと食べて、さっさと帰ってもらおう。


そう思って、光秀さんに甘味を運ぶ。
光秀さんの座る席に皿と黒文字を置いて、茶を入れ直した。




「葛まんじゅうか」

「はい、今は暑いので冷たくて美味しいですよ」

「餡が緑に見えるのは気のせいか?」

「あ、抹茶の餡なので」

「……ほう」

「光秀さん、茶の湯が趣味ですよね。なら、抹茶が好きなんじゃないかと思って」

「……」




そう説明した途端、光秀さんは意外そうな顔をして葛まんじゅうを見つめた。

そして黒文字を長い指で取り、見惚れるような綺麗な仕草で切り分け口へ運ぶ。

もぐっと口を動かし……
やがて、ふっと笑うように息を吐くと、その琥珀のような瞳を向けてきた。




「お、美味しくないですか?」

「味は解らん……だが」

「……っっ!」




すっ……と下ろした髪に手が伸びてくる。

まるで、愛しい物を愛でるように。
髪先を長い指が梳き、指先で毛先を優しく弄ばれた。

そして───………
そんな風に髪に触れながら。

なんだか優しい声色で言葉を紡いだ。






「悪くない…ありがとう」

















────思えば、それが始まりの日だった。


抹茶の葛まんじゅうを食べた光秀さん。
長い指で、髪を弄ばれた時、何故か心がざわついた。


まるで、それ以上は行っては行けないよと、警告するように。


あの淡い宝石みたいな瞳の奥。
そこには、どんな感情が渦巻いているんだろう。

いつも意地悪を言って、私をからかって遊んで。
そんな光秀さんは……どんな素顔を持っているんだろう。


少しだけ、興味はある。


と言っても。
光秀さんは大人の男の人で。

私はいつも子ども扱いされてる小娘で。

知ろうとしても無理なのだけど。
でも、そんな光秀さんでも、愛を囁いたりするんだろうか?


そんな事を───………
光秀さんが帰った後も、何故か考えていた。











────…………








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