〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第23章 カンタレラに久遠の蜜謳を《前編》❀上杉謙信❀
「────全て己が悪いのだろう、美依」
────瞬間
その凍り付くような謙信の眼差しが。
一瞬にして熱を孕んだ。
身を寄せられ、薄い襦袢越しに触れ合う身体が、びりびりと痺れて麻痺していく。
激しい劣情の炎。
そんな瞳に吸い寄せられ、目が離せない。
「お前が全て悪いのだ、美依。男を誑かすから」
「謙信、様……」
「無防備にその肌に触れさせ、無自覚に女の色香を放って…お前は、俺の物なのに」
「何言って……んんっっ!」
そのまま言葉を遮り唇を塞がれる。
性急に貪るように舌をねじ込まれ、その熱い舌は全て奪うように絡め取っていく。
吐息も、抵抗する思考さえ。
「はぁっ…ぁっ…んはぁ……」
口からは荒い息が漏れ、それでも止まない激しい口づけに身を捩っても。
柵にしっかり身体を押さえつけられてしまい、身動きすら出来ない。
急速に色濃くなった牢屋の空気。
ぴちゃぴちゃと舌が絡み合う音と、苦しげな吐息と。
音が混じり合って、冷たい空間に響いていく。
「んっ…んぅ…はぁっ…はぁっ……」
やがて全て蕩かされたように、美依がぼーっとし始めた時、ようやく唇は離され。
唇同士の間につーっと、銀の糸が引いた。
そんな美依を見ながら、謙信は妖艶に笑い。
そして柵から手を離し、美依の顎をくいっと掬い上げた。
「……いい顔だ、美依。そんなに口づけは気持ち良いか」
「謙信、様……」
「お前に機会を与えてやったのだ、己は誰の物なのか…きちんと自覚するまで、お前はずっと牢の中だ」
「え……」
「安心しろ、解るように手助けはしてやる。その躰、心…捧げたくなるように、たっぷり…熱を注いで愛してやろう」
「あっ……!」
謙信の熱い指先が、襦袢の襟に掛かる。
驚く暇もなく、中に忍び込んできた手に……
抵抗も出来ず、されるがままに。
暴かれ、そして。
全てを晒されていく。