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〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀

第23章 カンタレラに久遠の蜜謳を《前編》❀上杉謙信❀






「謙信、様……?」




仄暗い廊下を歩く途中。
美依は腕の中で、か細い声を上げた。

鋭く見下ろせば、迷ったような…それでも澄んだ黒い宝石のような、純粋な瞳で見上げてくる。


その瞳が、俺を狂わすのだ


その無垢な姿を、穢してしまいたいと。
俺の色に染めて、何もかも奪って。



────そして、二度と消えない傷痕を






「……美依、お前は純白の悪魔か」

「え?」

「純粋無垢なフリをして、男を誑かすのだろう?それ程までに人肌が恋しいか、美依」

「……?何を言って…………うっっ!!」







美依が小さく悲鳴を上げて脱力する。

俺が美依のみぞおちに食らわせた手刀は、一瞬にして美依の意識を奪い……

そして、力無く失神した美依は、その小さな身体を無防備に俺に預けた。



────お前がいけないのだ、美依



この俺を、その色香の虜にさせておいて、他の男にうつつを抜かすからだ。

腕の中の美依をさらに引き上げ、首筋の匂いを嗅ぐ。

甘い甘い、美依独特の匂い。
それはまるで媚薬のように、身体に入り込み……

ゾクッと全身を熱く疼かせた。






「馨しい香りだ…誑かされるのは、やはりお前のせいだろう…美依。けれど安心しろ、もうそれは俺だけの為の香りになる。お前の、何もかもを奪ってやろう…そして」






首筋をかぷりと噛む。
そこに咲いた紅い花を見ながら……

俺は、劣情の業火に呑み込まれた。








「その躰に教え込んでやろう、お前には誰が必要なのか。その瞳には、何を映していれば良いか……美依、お前が髄からそれを理解する迄な」















────…………

















「………っっ?」




寒々しい空気が身に染みる。
美依は身体に感じる、あまりに冷たい風と床の感触に、身震いをしながら目を覚ました。

目を開け、周りを見渡して驚く。

そこは薄暗い牢屋だった。
岩肌の床、灯りも無く、暖を取る物も無く。

低い天井から床に伸びる、木の格子柵。

その柵の一本に括り付けられた手枷の片方。
もう片方は…美依の片手へと繋がれていた。





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