〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第22章 艶熱蝶々-視線の鎖- ❀明智光秀❀
「いいえ、食べます。冷えてもいただきます!」
「だが、米が水分を含んでぶよぶよだぞ?」
「でもいいんです、食べたいです!」
あまり必死に言うので……
俺は小鍋から冷えたおじやを小椀に盛ると。
杓子に一口取って、美依の口元に差し出した。
「ほら、食わせてやる」
「え……」
「いいから食え、多分不味いがな」
「あ、ありがとうございます……」
すると、美依は政宗が食わせてやると申し出たのは断ったくせに、俺の手からは飯を食べた。
一口含み、もぐもぐと噛んで……
冷えきって、絶対不味いと思うのに。
美依はほっこりとした『あの笑顔』になって。
本当に嬉しそうに、可愛らしく言った。
「美味しいです…ありがとうございますっ……!」
(ああ、そうか……)
────その笑顔は
ずっと俺に向けてほしいと思っていた笑顔だった。
そもそも、それが見たくて飯を作った。
美味いから、笑顔になったと思っていたけど……
今回ばかりは、それは少し違ったのかもしれない。
政宗の飯は美味いから、笑ったのだろうが。
まさかとは思うが。
今、不味い飯でも、こうして笑うのは。
『俺』が作ったからか───………?
『光秀、さんが…すき、なんです……』
泣きながら言った美依。
奪ってくれと……口づけてきた美依。
昨日のあの姿は。
熱に浮かされていたとしても。
────信じて、いいのか?
「気が変わった、美依」
「え?」
「お前に教えてやろう、昨夜何があったか。俺とお前は、ある『約束』をしたんだ」
「約束?」
「ああ、それはな……」
そして、美依の耳元で囁く。
熱に浮かされて、交わした『約束』を。
俺の、美依への想いを。
赤裸々に語ったなら……
美依は真っ赤になって驚くだろうな?
だが、もう遅い。
あれは全て『現実』だった。
お前は俺にした事を恥ずかしながらも……
それでも『約束』を受け入れるのだろう。