〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第22章 艶熱蝶々-視線の鎖- ❀明智光秀❀
(…本当に……この小娘は………)
「……解った、解ったからもう寝ろ、美依」
俺は美依の胸元から手を抜くと、そのまま覆いかぶさり……
そして、そっと抱き締めた。
こんなに熱を出して、何をやっているんだ。
本当に好きだと言うならば……
それを治してから、改めて俺に伝えてくれ。
「俺がお前の裸を見て…何も思わないと思ったか?」
「光秀、さん……」
「正直な所、欲情して唾を飲んだ。その意味が解るか、お前を…好きと言う事なんだぞ、美依」
「本当、に……?」
「約束してやる。お前が俺を好きだと言うなら、元気になったらきちんとお前を抱いてやる。だから…今は早く良くなれ、俺に抱かれたいだろう?」
「は、い……」
「……いい子なら寝ろ、こうしていてやる」
回した腕で背中を優しく撫でながら、瞼にそっと口づけると。
美依は小さく笑い、そして目を閉じた。
しばらくして聞こえてきた、穏やかな寝息。
ちょっとした『刺激』に疲れたのか。
美依は脱力し、安心しきったように眠りに落ちた。
馬鹿な小娘だ。
何故襲おうとした男の腕の中で、こんなに安らかには眠れるのか。
「……おやすみ、美依」
俺は『こうしていてやる』と言った言葉の通り、美依を抱き締めたまま目を閉じた。
そのまま眠りに落ちる瞬間。
何か忘れているような気になったが……
美依の温かすぎる身体が気持ち良く、すとんの深い眠りに誘われていった。
あのまま抱いていたら、どうなっていただろうな。
意識が事切れる瞬間。
そんな戯言を頭の中に思い浮かべながら。
────…………
「……さん、光秀さんっ……!」
(ん…………?)
可愛い声で必死に名前を呼ばれ。
俺はふーっと眠りの底から意識を浮上させた。
しばらく焦点が合わず、微睡んでいたが……
二、三回瞬きをしていると、目の前に真っ赤な顔が見えて。
視界がはっきりしてみると、何故か困り顔の美依が、腕の中でもがいているのが解った。