〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第22章 艶熱蝶々-視線の鎖- ❀明智光秀❀
────そして、何とか夕餉を支度出来た後
俺は熱い小鍋と小碗を盆に乗せ、美依の部屋へと運んでいた。
文句を言いつつも、政宗は最後まで付き合ってくれ。
『俺は帰る』と疲れた様子で御殿へ戻って行った。
なんだかんだで面倒見が良い。
後で何か、礼をしなくてはならないだろう。
味はよく解らないが……
政宗が平気と言ったのだから、多分大丈夫だ。
(美依…喜ぶだろうか)
俺が作ったと言えば、多分びっくりした後、顔をしかめるだろう。
そして、恐る恐る口に運び……
美味いとまたびっくりして、笑顔になる。
そんな姿を想像出来て、思わず頬が緩んだ。
「美依、夕餉を持ってきたぞ、食え」
俺は、自分でも呆れる程の浮ついた気分で美依の部屋の襖を開けた。
赤い顔をして、褥から顔を出して。
『あ、光秀さん!』と微笑むだろう。
そんな光景を勝手に想像した。
────しかし
「美依………?」
部屋に入り、美依の姿を見た途端。
俺はびっくりして目を見開いた。
「ふぅ…うぅ……」
苦しそうな呻き声。
ぎゅっと瞑った瞳、半開きの唇。
燃えるように赤い顔をして、褥に横たわり……
うなされる美依の姿が、そこにはあった。
「美依、どうした……?!」
俺はすぐさま近づき、枕元に盆を置くと、美依の頬に手を当てた。
昼間とは比べ物にならないくらい熱い。
汗を大量にかいているし、唇は乾燥している。
それに、なんと言っても苦しそうだ。
「美依、大丈夫か、美依っ……?!」
何回か名前を呼びかけていると。
固く瞑られていた瞼がうっすらと開き……
視線だけこちらに向けて、美依が掠れた声を出した。
「光秀、さん……?」
「大丈夫か、熱いのか……?」
「はい、すごい…熱い、です…みず……」
「水か、水が飲みたいのか?」
俺は美依の上半身をゆっくり起こさせると、そのまま美依の隣に座り、身体を自分にもたれ掛けさせた。
そして枕元から水差しを取り、茶碗に水を注ぐと、美依の口元へと宛てがう。