〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第21章 俺的四つ葉の幸福論《生誕記念》❀徳川家康❀
「ちなみに、その文の続きは政宗が持っているぞ、多分な」
「え、そうなんですか?」
「美依から文を渡したら、家康に政宗を探させろと言伝られている。居る場所は『初めて喧嘩をした場所』だそうだ」
「初めて喧嘩をした場所……」
頭の中で、美依との記憶を辿る。
色々な『美依と喧嘩をした記憶』を思い出し…
そして、思い当たる場所が解ると、そのまま腰を上げた。
「光秀さん、俺は行きます」
「美依からの贈り物に辿り着くといいな」
「なんだ…光秀さん、はなから知ってたんですね」
「当たり前だ、そうでなければ協力などしない」
「はい、ありがとうございます」
「あ、家康」
光秀さんに一礼し、その場を去ろうとすると。
光秀さんは俺を呼び止め、なんだかとても優しい声色で言った。
「誕生日おめでとう、いい誕生日になるよう祈ってる」
────…………
────それから
俺は安土中の『美依との思い出の場所』を周り、そこで待っている武将から文を集めた。
『初めて喧嘩をした場所』には、政宗さん。
『初めて口付けをした場所』には、秀吉さん。
『逢瀬で訪れた茶屋』には、三成が。
それぞれの文には、美依の想いがいっぱいに綴られていて。
しかもどの文も『次に続きます』と、俺の心を煽り、足を動かした。
そして今は、信長様を訪ねて天主に来ている。
天主は『美依と一緒に暮らすきっかけが出来た』場所だ。
俺は、信長様から受け取った文に目を通し終わると、さっさと腰を上げた。
文を受け取り、読むたびに募る。
美依に早く逢いたいと。
「なんだ、もう行くのか、家康」
「はい、美依が待っていてくれてますので…多分」
「多分…?文にはなんと?」
「ある場所に来てくれと」
「ある場所か…貴様ら二人にしか解らぬ、暗号みたいなものか」
信長様が可笑しそうに、くすっと笑う。
信長様に託された文に書いてあったのは。
『初めて身体を重ねた場所が終着地』
それが意味する場所は、つまり。
この思い出を辿る『謎解き』が始まった場所。
────俺の、御殿の部屋だ