〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第21章 俺的四つ葉の幸福論《生誕記念》❀徳川家康❀
────親愛なる徳川家康様
家康、この四つ葉の白詰草を覚えていますか?
初めて逢瀬をした時、私は話しましたね。
これは『四つ葉のクローバー』と言って
それを見つけられたら、幸運が訪れると。
私はどうしても欲しいと貴方にワガママを言って
貴方は、一緒に一生懸命探してくれましたね。
でも、結局見つからなくて……
がっかりしていた私に、貴方は言った。
『美依が居るだけで、俺は幸福だよ。
それに、幸福はこれから一緒に作ればいい』
そして……
貴方は三つ葉のクローバーに、葉を一枚足して
これで『四つ葉のクローバー』になるよと。
世界で一つだけの『四つ葉のクローバー』を
作ってくれた。
私は……本当に涙が出るほど嬉しかったんだよ。
家康は普段あまり素直に本音を言ってくれない
ぶっきらぼうな所があるけれど、
本当は情熱的で、誰よりも優しい人なんだと。
私は、改めて思いました。
───次の文に続きます
(ああ…確か、そんな事したな、俺)
俺は美依からの文を読み、思わずくすっと苦笑した。
あれは、苦肉の策だったんだが。
美依が、四つ葉が見つからなくて、あまりにがっかりしていたから。
どうしても笑ってほしくて。
紙に三つ葉を貼り付けて、一枚切った葉をそこに足して、美依に渡したら……
美依は泣いて、そして可愛く笑った。
このしおりに付いてる『植物』は。
俺が美依の為に作った『四つ葉のくろーばー』だ。
「美依…まだこれ、持ってたんだ」
「へぇ……やるじゃないか、家康」
「へ?ちょ…何一緒になって読んでるんですか!」
隣で文を覗き込んでいた光秀さんの頭を、ぐいっと手で押す。
すると、光秀さんは可笑しそうに笑って……
俺の頭を優しくぽんと撫でた。
「いい顔だ、家康。美依のお陰か」
「……なんの話ですか」
「そんな優しい表情をするようになるとは、大した進歩だ。俺や周りに奪われないように、しっかり美依を守ってやれ」
「当然です、誰にも渡しません…って、なんであんたも奪う気でいるんですか」
思わずジト目で睨みつけると。
光秀さんはまた頭を優しく撫でて、言葉を続けた。