〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第21章 俺的四つ葉の幸福論《生誕記念》❀徳川家康❀
(初めて逢瀬をした場所って…ここでいいんだよな)
俺は朝餉を簡単に済ますと、城下の外れにある野原にやって来た。
そこは、美依と恋仲になって……
花が綺麗だからと、初めて連れてきた場所だった。
その時は春だった為、野原には綺麗な野花がたくさん咲き乱れていて。
美依が、ものすごくはしゃいだのを覚えている。
今はもう冬だから、花はあまり無い。
風が吹きすさんで、少し寒いくらいだ。
(確か、美依の手作り弁当を一緒に食べて、ある『探し物』をしたんだったな……)
そんな事を思い出しながら、しばらく野原の中に入っていくと。
野原の中にぽつんと一つ。
いつも城で見慣れた、白銀色の髪の男が、寒そうに野原に座っているのが見えた。
「……光秀さん?」
背後から、ぼそっと声を掛けると。
振り返ったその人は、琥珀の瞳をいつものように意地悪く細め……
そして、少し皮肉混じりな声で、苦笑しながら言った。
「家康、遅いぞ。寒いし、待ちくたびれた」
「すみません、美依からの文を確認して、すぐに来たんですが。美依が光秀さんを探せと…何か聞いてますか?」
「俺は美依からお前に、預かり物をしただけだ。まぁ、とりあえず座れ」
下から手を引っ張られ、光秀さんの隣に座り込む。
すると、光秀さんは懐から何かを取り出し……
にやりと笑って、顔の前にすっと差し出してきた。
「預かったのはこれだ、美依からの恋文だな」
「文……って、まさか中を読んだんですか?」
「読むわけないだろう。だが、恋仲の男に宛てた文となれば、恋文だとすぐに予測出来るからな」
「あ…そーゆー事ですか」
一瞬びっくりしたが、理由を聞いて内心ほっとすると、光秀さんから文を受け取る。
表には『家康へ』と、確かに美依の綺麗な文字で書かれてあって……
三つ折りの文を早速開いてみると。
中には本に挟むような、しおりが一枚挟んであり。
そのしおりに貼り付けられていた『植物』に驚いたが、とりあえず文に目を通してみようと、書かれた文字を目で追う。
すると、そこには……
美依の健気で可愛らしい『想い』が。
紙いっぱいに、つれづれと書かれてあった。