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〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀

第2章 蜜毒パラドックス《後編》❀豊臣秀吉❀





「ああ、お前に嫌いって言われると辛いな」

「もう言わないから」

「じゃあ、嫌いじゃないのか?」

「……うん」

「……嫌いじゃないなら、なんだ?」




美依が胸元から、そっと顔を上げる。

そして、熱を孕んだ瞳で見つめながら……
もっと心を締め付ける言葉を囁いた。







「大好き、秀吉さんの事、愛してるよ」







────堰を切って、溢れ出す想い

美依を欲しがる激情は。
止まることを知らずに駆け抜ける。




(ああ、駄目だな、俺)




堪え性の無い自分に苦笑しても。
それでも呆れ返るほどの幸福が、胸に満ちて苦しくなる。










「……あんまり男を煽ると、お前が辛いぞ?」

「え?」

「また抱かれる羽目になるからな」

「秀吉、さんっ……」

「あーあ、子どもが本当に出来るかもな、この分だと」

「……っっ!」

「でも、それもいい」








可愛い可愛い美依。
お前は妹なんかじゃなく、俺は兄貴でも無く。

一人の男のとして……お前を愛してる。










「絶対孕ませてやる。だから、俺の子を産んでくれ、美依。お前を……誰よりも愛してるよ」





















───それから
俺は疑問に思っていた事を、光秀に問いただした。


『お前は声を聞いたんだろう、どこから聞いていたんだ?』


勿論、答えははぐらかされた。
あいつはやっぱり腹が読めない。

でも──………
なんだかやけに優しい笑顔で、こう呟いた。



『一見、間違いや矛盾に思えるが、それが時に正しかったり結論を導いたりする。美依は……本当にいい女だな』



その真意は掴めない、でも。

ふと、心に思った。
最初から美依に『好きだ』と伝えていれば。
嘘をついたり演技をしたり、する必要は無かったのだと。

どんなに矛盾に塗れていても……最後は結局、己の本心には逆らえないと言う事。

だったら、後手に回せば回すほど損するんだな。
馬鹿みたいに、そう悟った。





───季節は晩秋。

もうじき一面は雪化粧に覆われ、冬になり。
また芽吹いて春は巡る。

そして、夏が来たら……
俺達の愛の結晶は、きっと生まれて来る。








蜜毒パラドックス



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