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〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀

第20章 猫さんと曇天の銀杏の木 ❀ 石田三成 ❀





────その後



私と美依様は湯殿で散々愛し合い…
暑さでくったりとしてしまった美依様を抱えて部屋に戻ってみると。

目を覚ました猫さんが、褥の上で尻尾を振って待っていた。

尻尾振って待ってるなんて、まるで犬みたいだな。

そんな事を思いながら、猫さんを踏まないように、美依様を褥に寝かしつける。

すると、腕にじゃれついてきて…
美依様を降ろすと、猫さんの頭から背中を優しく撫でながら、話しかけた。




「猫さん、貴方の名前をずっと考えていたのですが…一つ確認してもいいですか?」




猫さんをひょいと抱き上げ、腹の下辺りを見る。
『無い』って事は、つまり…




「貴女は女の子だったんですね。それすら知りませんでした、今まで知ろうともしていませんでしたね」




そのまま抱っこして、首を指で撫でると。
猫さんは気持ち良さそうにゴロゴロと喉を鳴らした。

人懐っこくて、気がつくと温かい。
そんな貴女の名前は。




「美依…で、決まりですね。そっくりだから」




これなら、いくら私でも忘れない。
男の子だったら『三成』にしようと思った。

でもやはり、『美依』がしっくり来る気がする。
愛らしくて、触り心地が良くて……

あんな『珍騒動』があっても、結局は憎めない。




「美依、いきなり居なくなったりしちゃ駄目ですよ?心配しますからね」

「にゃー」

「いいお返事です、美依。名前も覚えましょうね、貴女は『美依』ですよ。私の愛する御姫様と同じ名前です」

「にゃあー」

「ふふっ、美依は良い子ですね」

「ありがとう、三成君…」




一瞬、猫さんが話したのかと思ってびっくりすると。
褥に横たわる『人間の美依』が寝惚け声で、ふわふわと何かを言っている。

それを聞いて、思わず頭を捻った。




「美依…じゃ、紛らわしいですかね?特に一緒にいる時は、ねぇ美依」

「にゃー」

「三成君…」

「ほらやっぱり…うーん、どうしようかな」




困っていても、口元が緩んでしまう。
可愛らしい『美依』が二人も居ることに。

私は思わず苦笑しながら…
すっかり空に上がった月を、何気なく見上げた。




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