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〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀

第20章 猫さんと曇天の銀杏の木 ❀ 石田三成 ❀






(美依様、貴女って方はもう……!)




再度、銀杏の木に目を向ける。
美依様は危なっかしくユラユラ揺れており、今にも木から落ちてしまいそうだ。

雨が邪魔をするが、そんな事を言ってられない。

私は雨が降る中、顔を上に向け。
美依様の方に向かって、可能な限りの大きな声を上げた。




「美依様──っっ!危ないから、今すぐ降りてきてくださいっ!」




すると、美依様はこちらの声に気が付き。
途端に表情を明るくさせて、こっちを見下ろしてきた。




「三成君、あのね、猫さんが……!」

「秀吉様に聞きました!私が助けますので、今すぐ降りてきてください!」

「大丈夫、もうすぐだから!もう、ちょっと…!」




こちらの言葉を聞かず、美依様は腕を伸ばす。

この状況で何故大丈夫なのか解らない。
一人でしがみついているのが精一杯といった様子なのに、猫さんまで抱えたら降りて来られるはずがない。






「美依様っ…ちゃんと掴まってくださいっ!」






そんな事を言ってる間にも、幹はぐらぐら揺れる。

はっきり言って心臓が持たない。
こんなの、助けようがないじゃないか。

美依様自身で降りてくるしか、方法が無い。

うざったい雨を払いながら、ハラハラして見守っていると……

猫さんに手が届いた美依様は、右手で抱えるように幹を掴み、左手で猫さんを抱えあげた。




「大丈夫だよ、猫さん!怖かったね、よしよし」




どうやら猫さんの捕獲には成功したようで。

美依様は表情を緩め、もしかしたら踏ん張っていた足の力も緩んでしまったのか。

木の幹の分かれ目に足を掛けて立っていた美依様。
その足がずるっと。

前に滑ったのが解った。








「きゃっ……!」

「……っっ!美依様……っっ!」








美依様は足を滑らせ、猫さんを抱えたまま木から滑り落ち……

私は無我夢中で。
美依様を助けようと、自然に身体が動いていた。










「美依っ…………!!」










ドシ────────ンッッッ……!!!










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