〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第19章 桃色微熱 -戯れと煽る蜜- ❀豊臣秀吉❀
(……まぁ、それはお互いに絶対言えない秘密だな)
美依の頭を腕に抱えながら、そんな事を思って苦笑が漏れる。
今度は美依を寂しくさせないために。
目いっぱい甘やかして、愛してやろう。
とりあえず、体調が戻ったら……
時間を作って、美依と逢瀬でもして。
心から……満足させてやろう。
「美依、風邪が治ったら出掛けるか」
「え、本当に?」
「ああ、お前が行きたい所に行こう」
「嬉しい、ありがとう!」
「じゃあ、これは約束の印な。今は唇に出来ないから」
そう言って、額にそっと口づけると。
美依はいつか見た、陽だまりみたいな笑顔で……
優しく可愛く、温かく微笑んだ。
そして、思った。
ああ、思い描いていたよりも、百倍可愛いな、と。
────美依、お前を愛してる
その柔らかい声も、温かい身体も。
素直な所も、泣き虫な所も、芯が強い所も。
やっぱり現実のお前には敵わない。
いつもお前を愛しているように。
またお前を変わらず愛させてくれ。
その温もりだけが、全てを蕩かす。
心も、
身体も、
微熱を起こしたように、桃色に染まっていく。
戯れに煽られて……
また蜜のようなお前を堪能するよ。
今日は寒さが染みる、冬の日。
芽吹くにはまだまだ早い、真っ白な季節。
そんな中、俺を色鮮やかに染め上げる。
お前は俺の、極彩色の温もり。
いつまでも俺を火照らす。
熱く甘美な、秘密の微熱。
《桃色微熱 -戯れと煽る蜜-》
終