〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第19章 桃色微熱 -戯れと煽る蜜- ❀豊臣秀吉❀
(あー……何やってるんだ、俺)
射精後の朦朧とする意識の中、懐に入っていた手拭いを取り出し、畳に吐き出した欲を拭き取る。
本当に馬鹿みたいだ。
美依の着物の匂いを嗅いで、欲情して。
そればかりか、男のモノをそれで包んで扱くなんて。
どこまでみっともないんだ。
俺は異常な性癖があるんじゃないか、とさえ思う。
そもそも、この部屋に来た本来の理由は……
(あ、れ……なんか、ふらふらする……)
途端、頭の中が酸素不足になったように。
くらくらと目の前が回り始めた。
顔が熱い、唇も乾いているし……
そうだ、俺は具合が悪かったんだ。
今更ながらそれを思い出し、身体を畳に横たえる。
射精した事によっての疲労感にも襲われ……
何かに誘われるように、重い瞼を閉じた。
(美依、ごめん──……)
急速に意識が落ちていく。
そんな中、最後に頭に思い浮かんだのは。
泣き顔でもない。
抱かれて、乱れている艶っぽい顔でもない。
陽だまりみたいな──……
優しく可愛い、美依の笑顔だった。
────…………
「秀吉さん、具合はどう?」
褥に横たわる、俺の額に手を当て……
美依は心配そうに顔を覗き込んだ。
俺はくすっと笑い、美依に手を伸ばす。
そして、その頬に触れながら、なるべく優しい声色で言った。
「そんなに心配そうな顔をするな、もう大丈夫だ」
────あの日から
俺は体調を崩し、数日間寝込んだ。
自分でも気が付かなかったが、相当高い熱が出ていたらしく。
自慰した後、美依の部屋で寝入ってしまっていた俺を、帰ってきた美依が見つけ……
ハッキリ言って、美依に散々怒られた。
自慰した事ではない。
それはどうやら、美依には知られずに済んだらしい。
なんでそんなに具合悪くなるまで無理をするんだと。
ただの風邪ではあったのだが、普段風邪なんて殆ど引かないため、美依は馬鹿みたいに心配した。
移るから看病は止めろと言ったのだが、止めるなら疑った事許さないと言われてしまい……
不本意ながら、付きっきりで看てもらっている。